2019年6月
巷談舎便りvol.129
梅雨入りを前に真夏を思わせる暑さです。
我が家のマンションの庭には色とりどりの紫陽花が咲き、
目を楽しませてくれます。
4月に孫がこども園に入園しましたが、3日目に熱を出し、
この2か月ほとんど毎週と言っていいほどいろいろな病気に
かかりっぱなしです。
娘がどうしても仕事を休めない日は私が代わりに病院に連れていったり、家で面倒をみたりしています。
この間娘も私も母もそれぞれ風邪をひいたり、胃腸炎になったりと
本当に大変でした。
普段ほとんど病気とは縁がない私ですが、さすがに体力が落ちたな
と感じる日々です。
4月20日から開催した「唐津からの風 T」では梅田健太郎さん・
塩鶴るり子さん・中川恭平さんの食器や酒器がたくさん並びました。
梅田さんの朝鮮唐津はとてもきれいでした。
新しく築窯した窯がようやく安定してきたようです。
塩鶴さんは食器のスペシャリスト。今回もいろいろな小付けがたくさん出ましたが、料理人にとって必要不可欠な品。変わらぬ人気です。
中川恭平さんは自然坊さんから受け継いだ土と窯で作られた
刷毛目や朝鮮唐津の角皿・板皿・蕎麦猪口はほとんどお父さんと
変わらない出来栄えでした。
梅田さんが自然坊さんのところで修行している時、恭平さんはまだ
中学生。
そのため二人が話をする時、「健太郎兄ちゃん」と呼びかけるのが
とても可愛く感じられ、二人がこうして同じ場に並んでいる姿を
自然坊さんに見せたかったなあと思ってしまいました。
今回は若い料理人の人たちがたくさん来てくれ、とても賑やかな企画展となりました。今でも厳しい世界で三年・五年・十年と頑張っている
彼らはこれからの料理界を支える貴重な人材です。
将来独立するために真剣に器を選んでいる背中がとても頼もしかったです。
5月18日から25日まで開催した「池西 剛 作陶展」では黄瀬戸・
粉引・黒高麗の食器がたくさん並びました。
見事に完成された器の数々に思わずため息が漏れました。
この存在感をどう表現して良いのか、素晴らしいの一言でした。
酒器では最近手掛けている黄野がぐい呑展の時よりさらに
パワーアップしていました。
黄瀬戸の釉薬で志野を思わせるような風合いがとても素敵でした。
土も焼き方にも池西さんらしい繊細な工夫がされていて、
ここまで面倒なことはみんなしないよね。と笑っていました。
いろいろな話ができ、勉強にもなり、お茶目な一面ものぞかせてもらい、とても楽しい時間を過ごせました。
次回の企画展
6月15日(土)から21日(金)「2019 唐津からの風U」を開催します。
出品作家は内村慎太郎さん・梶原靖元さん・竹花正弘さんの3名です。
こちらもぜひご覧ください。
巷談舎 山根幸子
2019年3月
巷談舎便りvol.128
大阪でも先日桜の開花が発表され、家の周りでもすでに
満開の桜や三分咲きや5分咲きなどいろいろな木々が
目を楽しませてくれます。
いよいよ春本番です。
春休みなのでこどもたちが鬼ごっこをして元気に走り回る姿が
見られます。
思いっきり笑いながら遊んでいる姿を見るとこちらまで嬉しくなって
しまいます。
我が家の共有廊下の階段下は道路からは見えないので、
こどもたちが代替わりしても相変わらず秘密基地になっています。
先日から動物のフィギュアや木切れが置いてあり、
同じくらいの大きさの石が丸く円を描くように並べられています。
どんな意味があるのか聞いてみたい気もします。
と、ここまで書いていたところまたメンバーが変わり、
今度はみんなで段ボールを持ち寄り、セロテープで段ボールを貼り、
囲いを作っています。フィギュアに代わり漫画が置いてあります。
雨が降ると濡れるのが心配です。
今年の企画展も1月のぐい呑100撰で始まりました。
今回はぐい呑・徳利・片口など700点以上が集まりました。
初日からたくさんのお客様が来て下さり、今年も賑やかな
スタートとなりました。
それぞれお気に入りのぐい呑を持って帰っていただきました。
嬉しそうに持って帰られる様子を見るとこちらも嬉しくなります。
昨年12月からの準備と開催期間2週間で片付けも2月半ばまで
かかり、私たちにとってはかなりの長丁場ですが、
期間中はいろんな方たちとの新しい出会いもあり、
なにより喜んでくださるお客様の顔を思い浮かべると
まだまだ頑張って続けるぞと気持ちが引き締まります。
3月初めに「My Favorite Things 私のお気に入り」と題して
小坂大毅さん・松浦コータローさん・松浦ナオコさんの三人展を開催しました。
三人共まだ30代。特に小坂さんは31歳という若さです。
小坂さんの染付は一見若い人が作ったとは思えないくらい古典的で
器の種類も豊富でお料理屋さんにとても喜んでいただけました。
松浦コータローさんは華やかな色絵・紅安南などの器と落ち着いた
青瓷・粉青象嵌などの器が好対照でした。
松浦ナオコさんは洋皿を思わせるような阿蘭陀文とほんわかとした
赤絵の愛らしさがとても素敵でした。
以前から松浦さんは人気があり、人が並ぶよと聞いていましたが、
うちの店ではそんなことはないだろうと高を括っていたところ、
初日たくさんの方が朝早くから並び、結局整理券を出すことに
なりました。
ほとんどが中国・台湾の方たちでびっくり。
11時オープンの店に朝5時半からとか6時からとか並んで
くださったそうです。
人数制限・点数制限をするしかなく、開店と同時にバーゲン会場の
ような状態で、気が付いた時にはほとんどなくなっていました。
普段ゆっくり見てもらって、気に入った品を選んでいただくという
スタイルに慣れていたので、少し残念な気もしましたが、
二日目は少しこちらも余裕ができ、いろんな方と話をできたので
いい経験になったねと主人と話しています。
さて、本日3月30日から4月6日まで開催の「春の備前展」
金重潤平さん・川端文男さん・豊福博さん・脇本博之さんの
作品を中心にぐい呑・徳利・小鉢・皿・花入など
約150点が並びました。
一口に備前と言ってもそれぞれの方たちで土作りや窯焚きにも
それぞれのやり方があり、風合いも同じではありません。
同じ窯から出てきたものでも窯詰の時にどこに置くかによって
全く風合いが違ってくるというのも魅力です。
そして使えば使うほど綺麗になるというのも備前の魅力のひとつです。
ぜひ「春の備前展」ご覧ください。
次回の企画展
4月20日(土)から27日(土)「2019 唐津からの風T」を開催します。
出品作家は梅田健太郎さん・塩鶴るり子さん・中川恭平さんの3名。
こちらもぜひご覧ください。
巷談舎 山根幸子
2018年12月
巷談舎便りvol.127
早いもので平成最後の師走に入りました。
今年も一年巷談舎便りにお付き合いいただきありがとうございました。
以前のように毎月お送りできませんが、来年も時々お送りいたし
ますのでよろしくお願いいたします。
11月の半ば、母の弟から箕面で紅葉を楽しみながら食事を
しましょうとお誘いがありました。
とても優しい叔父で、毎月母に電話をかけてきてくれます。
叔父夫婦と従姉妹、母と私と娘と孫の6人で会うことになりました。
母には何日も前から説明していたのですが、
弟のことが思い出せないようで、実際に会うまでは何が何だか
わからないといった様子でした。
会うと思い出したようで食事の途中からは叔父とふたりで楽しそうに
祖父のことを話したりしていました。
月に一度の電話も会ったことも食事をしたこともすぐに忘れて
しまいます。
日々いろんなことができなくなっていく母ですが、
その時その時楽しい思いをしてくれればそれでいいと
ようやく思えるようになりました。
今年の企画展は10月の田中佐次郎先生の個展が最後と
なりました。
初日・二日目とたくさんのお客様で、特に若い方が多く、
佐次郎先生がびっくりなさっていました。
東京の個展が終わってすぐに唐津に帰り窯焚きをし、
窯が冷める間に韓国へ行き、戻ってすぐに窯出しをして荷物を送り、
個展の前日朝一番の飛行機で到着し、店に手荷物を置いてそのまま京都に行かれました。
初日の朝いらっしゃった先生は「昨日は一日京都を歩き回ったよ。」と
笑いながらおっしゃいました。
82歳の方のスケジュールとは思えません。
「先生は疲れたと一言もおっしゃったことがないですね」と言うと
「仕事だから」という返事が返ってきました。
「来年は全く違ったものを作るからね。楽しみにしておいてね。」と
本当に楽しそうにおっしゃる佐次郎先生。
来てくださったお客様ひとりひとりに丁寧に接し
、愉しませてくださる先生の姿に今年も頭が下がりました。
今月は小澤順一さんと津守愛香さんの干支の人形が並びます。
まだ届いていませんが、10日頃には店頭に並ぶことになります。
そして20年以上干支の豆皿を作ってもらっていた山田裕子さんの
ガラスの豆皿は残念ながらもう見ることができません。
昨年春に病気がわかり、闘病の末今年亡くなられました。
昨年11月に入院先から電話がかかってきました。
最後の着地はきれいにしておきたいからと言う言葉通り、
すべて終わってから手紙が届きました。
同じ世代として見事としか言いようがありません。
そして本当に残念でなりません。
来年1月は恒例の「ぐい呑100撰」を1月12日(土)〜26日(土)まで
開催します。
約50名の作家のぐい呑・徳利・片口などの酒器約600点が
所狭しと並びます。
ぜひお越しください。
巷談舎 山根幸子
2018年9月
巷談舎便りvol.126
まず、大阪北部地震・西日本豪雨・台風21号・北海道胆振東部地震で被害に遭われた全ての皆様に心からお見舞い申し上げます。
地震の後も台風の後も心配してくださったたくさんの方々から
お電話をいただきました。
ありがとうございました。
阪神淡路大震災の時以来の激しい揺れに二度経験することはないと思い込んでいた自分の甘さを痛感しました。
そして店の中がどんなに酷いことになっているかを考えました。
幸いにも店の被害は思ったほどではなく、翌日には営業を
再開できました。
台風では風が怖いと初めて感じました。家の中にいても本当に
恐ろしく家全体が揺れているようでした。
翌朝、見慣れた町並みが一変していました
。
被害に遭われた方々のことを考えると普段の生活を送れることが
どんなに幸せなことかをつくづく感じます。
自分たちの身にいつ何があっても不思議ではないということを
実感しています。
さて、毎年恒例の「岡 晋吾・さつき展」もいよいよ明日24日までと
なりました。
今回も食器を中心に約140種類の作品が並びました。
さつきさんは確実に絵付けの幅が広がり、今回は飴釉に絵付けを
プラスしたものが登場しました。
愛らしい絵付けももちろん健在ですが、しっかりとした筆の運びも月日の流れを感じさせてくれます。
岡さんは今回絵付けを極力抑えて見せる作品や絵唐津・斑・鉄絵などのうつわやぐい呑などの酒器が並びました。
また来年どんな作品に出会えるかを楽しみにしています。
10月6日(土)から12日(金)まで「唐津 山瀬 田中佐次郎陶展」を
開催します。
佐次郎先生と出会って12年。初めてぐい呑を手に入れてから10年が
経ちました。
今回の個展は佐次郎先生と私達のこの10年の歩みをしっかりと心に刻む個展となればと考えています。
佐次郎先生は私たちにとって雲の上のような存在でした。
まさかこのように親しくさせていただけるようになるとは
夢にも思いませんでした。
御年81歳。山瀬に移られて31年。ちょうど巷談舎のオープンと
同じ時期です。
普段は穏やかで優しく、お茶目な先生ですが、やきものに関しては
本当に厳しく、鬼のような方です。
いろいろなことをたくさん教わりました。
人を喜ばせること、真面目と正直は違うよ、正直に生きなさい。
商売が上手とは言えない私たちですが、31年この仕事をやってきて、あと何年この仕事ができるかを考えた時「巷談舎は変なオヤジがいたけど面白かったな」と思い出してもらえるような、
そんな店として残りの時間を過ごしたいと願っています。
佐次郎先生は個展に向けてもうひと窯窯焚きをしてくださるそうです。いつものように6日7日
の二日間来てくださいます。
佐次郎先生の作品・佐次郎先生にぜひ会いに来ていただきたいと思います。
巷談舎 山根幸子
2018年4月
巷談舎便りvol.125
久しぶりの巷談舎便りです。
桜が散り、新緑がまぶしい季節になりました。
昨年は私たち夫婦にとって変化の多い年になりました。
娘の結婚後まもなく主人の母が亡くなり、
その命を継ぐかのように孫が生まれてきました。
私たちにとって初孫です。
寝返りをするようになり、際限なく転がっていきます。
目をはなした隙にカーテンを引っ張って舐めていたり、
食卓のテーブルの下で椅子の脚を触っていたりします。
4年前から同居している私の母にとっては初めてのひ孫。
認知が進んできていて、名前を覚えることはできませんが、
可愛いね可愛いねと言って喜んでいます。
先日娘夫婦と母と孫とで近くの公園にお弁当を持って
花見に行きました。平日だったので主人は残念ながら店でお留守番。
最後に花見に行ったのはもう覚えていないくらいはるか昔のこと。
満開の桜の下でおにぎりをほうばり、ビールを飲んで、
のんびりゆったりと過ごしました。
こんな日が来るなんて、昨年まで想像もしませんでした。
来年も母を連れて来てあげたいなと思いました。
さて、今月4月の企画展はお休みです。
次回の企画展は5月26日(土)から6月1日(金)
「中川自然坊一門展」を開催します。
自然坊さんが亡くなって今年の12月で七年になります。
店にはまだ自然坊さんのぐい呑がたくさんあるので、
いつも身近に感じていますが、今こうして便りを書いていると
あらためて時の流れの速さを感じます。
亡くなった翌年に一門展を開催しましたが、
5年ぶりに自然坊一門の作品が並びます。
梅田健太郎さんは熊本で、今野安健さんは山形で、
菊池克さんは大分で、藤村拓太さんは兵庫で、
最後の弟子田中孝太さんと中川恭平さんは唐津で
それぞれ頑張っています。
生前年間30回以上の窯焚きをしていた自然坊さん。
やきものに対するひたむきさや思ったことはそのまま
口に出して言うストレートさは本当に愛すべきものでした。
病を得てからの壮絶なまでの戦いの日々。
文字通り命を削っての仕事ぶりでした。
そんな自然坊さんの下で修行を終え、独立していった弟子たちも
この七年それぞれの道を試行錯誤しながらしっかりと歩んでいます。
自然坊さんの作品も一緒に並びます。ぜひご覧ください。
6月の企画展
6月16日(土)から22日(金)「唐津からの風」
内村慎太郎・梶原靖元・竹花正弘
巷談舎 山根幸子
2017年9月
巷談舎便りvol.124
気がついたらもう9月も半ばを過ぎ、夜になると虫の音も
聞こえるようになりました。
店からの帰り道、彼岸花が咲いているのを見つけました。
余裕を持って毎日を送ろうという年始の思いも空回り。
やはり今年もバタバタのしっぱなしです。
お正月に一念発起して申し込んだ通信教育の習字講座、
まだ一回も提出できていません。
家にいたらいたで、じっと座っていることがもったいないような
気になってしまう悲しい性分。まるで回遊魚です。
8月の終わりにスマホデビューしました。ちゃんと説明書を
読んでいなかったので、出先で電話がかかってきても、
どうやって出たらよいのかわからず、店に帰ってからようやく
かけ直しました。
何もかも勝手が違い、フェイスブックも登録しましたが、
わからないことだらけ。
いろんなところをポチポチやっているうちに、メールで自分の打った
文字が読めないというアクシデントがあり、慌てて買ったお店に
駆け込み、直してもらいました。
スマホと格闘している時間がもったいないので、以前のガラケーと
同じように電話とメールでいいやと思い直し、
とりあえず今小休止です。
さて、今月・来月はまた月2回のペースで企画展を開催します。
と言っても9月の最初の企画展岡 晋吾さん・さつきさんの
ふたり展はもう終わってしまいました。
巷談舎便りに間に合わず、申し訳ありません。
今回はかなり絞り込んだ点数にしてもらいましたが、
それでも二人合わせると120種類の器が並びました。
岡さんの筆はますます冴え、染付・銀彩・辰砂・赤絵を
自在に組み合わせて、本当に素敵でした。
さつきさんも染付・赤絵・色絵の筆使いが伸びやかで愛らしく、
同じ生地でも描く人が違うとこんなに違うのかと対比が
面白かったです。
来年はちゃんとお伝えできるよう努力します。
今月後半は9月23日から29日まで植葉香澄さん・津守愛香さんの
ふたり展です。
共に京都芸大の先輩・後輩になります。
植葉さんはキメラ(神獣)を代表とする緻密で古典的な絵柄と
鮮やかな彩色、造形で見る者の目を奪います。
一方津守さんの作品は時に愛らしくユーモラスであったり、
時には毒を持っていたりと彼女の夢の中を覗いてみたいような
不思議な感覚に陥ります。
おふたり共に鮮やかな色彩で、一緒に並べるとかなり
不思議な空間になりそうです。
ぜひご覧下さい。
HPでも一部ご紹介します。
10月は、10月7日(土)〜13日(金)恒例の「唐津 田中佐次郎展」を
10月28日(土)〜11月3日(金)「池西 剛展」をそれぞれ開催します。
佐次郎先生と出会って約10年。80歳を過ぎて益々お元気な先生。
今年も直前まで窯焚きをなさるそうです。「いいものを送るからね。」と
嬉しい言葉をいただきました。
次回詳しくお伝えします。
巷談舎 山根幸子
2017年5月
巷談舎便りvol.123
早いもので今日から5月。ゴールデンウィーク真っ最中です。
3月の終わりに主人の母が亡くなりました。
昨年12月から度重なる脳梗塞で少しずつ体の機能が
失われていきました。
最後は筆談だったのですが、娘が7月に結婚式を挙げることを
報告できたのがせめてもの救いでした。
時間が経つに連れ、いろいろなことを思いだします。
昨日もお客様から柏餅をいただき、主人と食べながら
「そういえば連休に帰ったら必ず柏餅を作ってくれたよね。」
柏の葉ではなく、山帰来の葉で巻いた大量の柏餅ができあがっていて
1・2個食べたくらいでは許してもらえません。
料理上手でなんでも作ってくれましたが、足りないのが一番嫌だそうで
とにかく量が多く、大阪に戻った時には体重が増えていました。
もうすぐ四十九日を迎えます。
先に逝った父がにこにこしながら待っていることでしょう。
先月4月15日から21日まで「極上の食卓」というタイトルで
池西 剛さん・市野雅彦さん・内田鋼一さん・田中佐次郎さんに
食器を作っていただきました。
この4人の作家の作品が一堂に会するというのも今回の企画展の
見所のひとつ。
皆さんそれぞれとても忙しい中、しかも今回食器という限定された
ものをお願いしたのですが、期待を裏切らない作品が並びました。
池西さんは黄瀬戸を中心に小皿・向付・鉢・酒器などを。
市野さんはいろいろな形のわん・筒皿・わっかを縦にした
手付の皿などを。
内田さんは久しぶりに赤織部の皿やプラチナ彩注器・ぐい呑などを。
佐次郎先生は絵唐津の皿や向付・たくさんの新作のぐい呑など、
それぞれに個性豊かな作品が並びました。
器に対する解釈の違いが面白く、値段もそれなりではありましたが、
まさに「極上の食卓」。
見ごたえのある企画展となりました。
さて、今月5月13日(土)から18日(木)まで「極上の食卓」第二弾を
開催します。
メンバーはガラスの荒川尚也さん・唐津の岡 晋吾さん・
漆の近藤 保さん・瀬戸の藤井憲之さんの4名です。
今回は食器のスペシャリストが揃い、また違った意味での
「極上の食卓」を演出してくれることと思います。
どんな作品が届くのかとても楽しみです。
ぜひご覧ください。
HPでも一部ご紹介します。
5月はこのあとすぐ、毎年恒例の「唐津からの風T」を
5月20日(土)〜26日(金)を開催します。
今年は三部構成で企画しています。
「唐津からの風T」では内村慎太郎さん・中川恭平さんに。
6月3日から9日「唐津からの風U」では梶原靖元さん・塩鶴るり子さん。
6月17日から23日「唐津からの風V」では梅田健太郎さん・竹花正弘さんにそれぞれお願いしました。
ゆったりとたくさんの作品を見ていただけることと思います。
こちらもどうぞ楽しみにお待ちください。
巷談舎 山根幸子
2017年3月
巷談舎便りvol.122
奈良の東大寺では春を呼ぶお水取りの行事が始まっています。
日差しも少しずつ暖かくなり、日向を歩くと心地よく感じるようになって
きました。
巷談舎便りの更新がなかなかできず、申し訳ありませんでした。
中には私の体調が悪いのではと心配してくださった方も
いらっしゃいました。
体調は良いのですが、1月のぐい呑100撰の準備と片付け・
2月のTANBA讃歌の準備・確定申告・プライベートなことなどが
重なり文字通り目の回るような忙しさでした。
ようやく人心地付いたと思ったら、3月になっていました。
新しいメンバーも加えての1月のぐい呑100撰では連日
たくさんのお客様に来ていただき、にぎやかな2週間でした。
昨年から開催の「TANBA讃歌」は今回2回に分けて行いました。
2月11日から17日までの「TANBA讃歌T」では丹波の大上伊代さん・
清水剛さん・西端春奈さんの3人の作品を並べました。
大上さんは昨年飛び入り参加してもらいましたが、今回は鬼・狐・
天狗・唐獅子などの盃・片口・茶碗など10点の作品が並びました。
迫力のある表情やひとつひとつのパーツが丁寧で見ていて
飽きません。
唐獅子の足の裏にはピンクの肉球まで付いていて、
本人曰く「めっちゃ可愛いでしょう?これ作るのとっても楽しかった
んです。」
清水さんは一家全員インフルエンザにかかり、窯焚きがずれ込み、
搬入の日の朝に窯出しだったそうで、体調が万全ではない中
搬入してくれました。まだ熱い窯の中から作品を取り出すのは
大変です。取り出した作品をすぐに奥さんが手入れし、
清水さんがこちらに向かっている間に奥さんからリストが届きました。
そんな大変な状況だったにもかかわらず塩窯の作品は
素晴らしい出来栄えでした。
勿論繊細な刻紋の作品も並びました。塩窯と刻紋の作品との
対比が面白かったです。
西端さんは今回初めて参加してもらいました。
西端正さんの娘さんです。いつもはシンプルなものが多いそうですが、
今回は三人展ということもあり、鯛づくし・金魚づくし・桜づくしなど
器にびっしりと描き込んだ作品が並びました。
ただ描くのではなく、まず釘彫りでひとつひとつ絵を彫り、
その上から色を置いていきます。写真で見るよりずっと立体感があります。
DMの傘徳利はおじいさんの末晴さんが作られた生地を使っています。
伝統的な丹波の傘徳利に絵付けという組み合わせはとても面白く、
まるでドレスをまとった貴婦人のようでした。
それぞれ全くタイプの違う三人展に新しい丹波の可能性を感じました。
今日まで開催の「TANBA讃歌U」は40代の今西公彦さん・
50代の市野雅彦さん・60代の西端 正さんの三人展です。
それぞれの世代を代表するかのような中身の濃い作品が並びました。
今西さんは白丹波・黒丹波・引出黒に辰砂窯変の作品が加わり、
作品の幅が広がりました。茶碗やぐい呑・花入の焼けが素晴らしく、
食器もとても上手でこれからが本当に楽しみです。
市野さんは相変わらず魅せてくれます。
丹波イッチン・丹波赤ドべイッチンなどのシリーズに今回
「土塊 つちくれ」が多数並びました。
眺めていると仏様やお地蔵様に見え、市野さんならではの
不思議な存在感を放っています。
西端さんは茶碗・ぐい呑・花入が並びました。
赤土部茶碗・白峰茶碗の風格はやはり別格です。
灰釉の釉の流れ・ざっくりと削った土見せなど本当に素晴らしいです。
丹波の底力を感じる三人展となりました。
さて、今月は3月18日(土)から24日(金)まで
「荒川尚也 ガラス展」を開催します。
今回もたくさんの作品が並び、店の中はガラスで埋まります。
今年も春の光を受けて荒川さんの世界が展開します。
いつものように搬入は一日がかりで行います。
今年はどんな什器が来るのか、どんなセッティングになるのか、
どんな作品群が並ぶのか、今からワクワクしています。
ぜひご覧ください。
HPでも一部ご紹介します。
4月の企画展:4月15日(土)〜21日(金)極上の食卓T
池西 剛・市野雅彦・内田鋼一・田中佐次郎
こちらは次回詳しくお伝えします。
巷談舎 山根幸子
2016年12月
巷談舎便りvol.121
今年も残すところ20日を切りました。一年があっという間です。
なんだか年々早くなっていくような気がします。
おかげさまで巷談舎は来年30周年を迎えます。
若かった私たちも30年歳を重ねました。
今から考えるとかなり無謀なことで、商売もこの世界のことも
何も知らないでやきもの屋を始め、無我夢中で突っ走ってきた
ように思います。
店を続けるためにもちろん努力もしましたが、なによりたくさんの
お客様・作家の方たちに出会い、支えられてきたことは
奇跡のような幸運としか言いようがありません。
今年は5月の池西 剛展から7月の唐津からの風まで、
ほとんどぶっ通しで企画展を開催し、9月からの二ヶ月間も
岡晋吾・さつき展から渡邊明硝子展まで続けて開催しました。
とても楽しかったのですが、この間休みなしでやっていたので、
正直体は疲れました。
私たちは休むのが苦手なようで、日曜日でもつい店に行き、
前日やり残した仕事をしたりしてしまいます。
来年の課題はもう少し休みを取り、その休みを有効に使うと
いうことです。
身体を休めることはもちろんですが、心の栄養を摂ることも
大切かなと思います。
休みをどのような形で取るかを今ふたりで話し合っています。
12月に入ると毎年干支の置物や豆皿を並べます。
今年も小澤順一さん・津守愛香さん・山田裕子さんにお願いし、
作ってもらいました。
山田さんのガラスの豆皿は明日届く予定です。
干支はわかっていてもどんな作品が送られてくるかは、
届いてからでないとわかりません。
毎年荷物を開けるのがとても楽しみです。
店の表に並べると一番反応してくれるのがこどもたちです。
お母さんと一緒にガラス越しに覗き込んでおしゃべりしている姿は
とても微笑ましいです。
おかげでガラスにはいつも小さな手とおでこの跡がたくさん残ります。
さて、来年1月14日(土)〜28日(土)ぐい呑100撰を開催します。
私たちにとって年明け恒例のお祭りのようなものです。
今年は新たに木俣 薫さんが参加してくれることになりました。
写真撮りのためにたくさんの酒器が集まっています。
この中から撮影に使う品を選ぶ作業は主人の役割です。
カメラマンの川越さんのスタジオに持ち込み、
いろいろと話し合いながら撮影するそうです。
今構図を考えているそうですので、出来上がりが楽しみです。
ぐい呑・徳利・片口など酒器が約600点集まります。
HPでもできるだけたくさんご紹介しようと思っております。
まるごとたっぷり2週間。「ぐい呑100撰」ぜひご覧ください。
少し早いですが、どうぞ良いお年をお迎えください。
巷談舎 山根幸子
2016年11月
巷談舎便りvol.120
道路沿いの木々が赤や黄色に染まり、早いものではその葉を
散らしはじめました。
先日嬉野の松貢陶土の松尾さんが店に来てくれました。
お土産に松尾さんのお父さんが作っているあいがも米の新米を
持って来てくれました。
お父さんは20年ほど前から陶土屋さんをやりながら、
あいがもに田んぼの草や虫を食べてもらい完全無農薬の
米作りをされています。
あいがもの雛たちはお父さんのことを親だと思うらしく、
後ろを付いて回るそうです。
「もう可愛くって可愛くって」と嬉しそうに話をしてくれた
お父さんの顔が忘れられません。
そんな米作りも今年は熊本の震災で一変しました。
あいがもはとても繊細で、震災のショックからか卵を産まなくなったそうです。
例年の半分の数の雛で、今年の米作りは雑草と虫との戦いに
明け暮れ、やはり収穫高は半分だったそうです。
そんな貴重なお米(玄米)なので、古くなった精米機を処分し、
新しい精米機を買いました。
艶々で粘りのあるおいしいご飯を毎日感謝しながら
いただいています。
10月22日(土)から28日(金)「渡邊 明切子展」を開催しました。
渡邊さんとは古い付き合いですが、今回2度目の個展でした。
ガラスのグループ展や二人展という形で作品を出してもらって
いましたが、前回の個展は11年前。
当時とは作品もかなり変化しています。
積層シリーズは今の渡邊さんの代表作です。
板ガラスを熱で柔らかくし、形を作るのですが、積層という
名前からもわかるようにこの板ガラスが何層にも重ねられています。
そのひとつひとつにカットが施されていて、それを一体化して、
更に一番外側にカットが施されます。
板ガラスの間には漆の蒔絵で使う金・銀の粉や金線・銀線・プラチナ線などを入れ、複雑なカットに色味が添えられ、
妖しいまでの美しさとなります。
文字にしてしまうととても簡単そうですが、板ガラスを重ねた時に
模様がきちんと合うようにあらかじめ設計図を作るそうです。
鉢などのカーブは一度では無理なので何度も窯に入れて
少しずつ曲げていきます。
カットした面はすべてすりガラスになっているので
、もとの透明なガラスに戻すために丁寧な磨きがかけられます。
ひとつひとつの作業は根気と集中力の賜物です。
私のように「ま、いいっか。」では済まされません。
厚みのある生地に深いカットを施すことで光の屈折が複雑になります。
どれほど眺めてもただひたすらに美しい。それ以外の言葉が
見当たりません。
いらっしゃったお客様も皆さんいいものを見ることができたと
喜んでいただけました。
普段は明るくて面白い渡邊さんですが、仕事のこととなると妥協を
許さない厳しい一面を垣間見せます。
このギャップが魅力です。
忙しい中たくさんの作品作ってもらい、今年一年を締めくくる
素晴らしい企画展となりました。
今年の企画展はこれで最後ですが、12月にはいつものように
小澤順一さん・津守愛香さん・山田裕子さんの干支の人形や
豆皿が並びます。
来年の干支は申。どんなお猿さんが並ぶのか楽しみです。
次回の企画展は来年1月14日(土)〜28日(土)ぐい呑100撰です。
巷談舎 山根幸子
2016年10月
巷談舎便りvol.119
朝晩肌寒くなり、毎日香りを楽しませてくれた金木犀も
そろそろ散りはじめました。
季節がまた一歩冬へと近づいています。
我が家のマンションの階段の裏側に、道路の植え込みから
死角になった2畳ほどのスペースがあります。
最近、小学生たちがそのスペースでよく遊んでいます。
道路からは全く見えませんが、うちの敷地の柵を越えたところに
あるので私たちからは丸見えです。
私が帰ってきたのを見て全員固まってしまいました。
「こんにちは」と声をかけると「こんにちは」と返事が帰ってきました。
邪魔をしないように急いで家に入りました。
翌朝出かける時に見てみると、木切れにマジックで何か書いてあり、
葉っぱの上には石ころや棒きれが置かれていました。
思い出すなあ・・・こどもの頃の秘密の隠れ家。
雨露がしのげて、大人には気づかれないスペースは
こどもにとってワクワクする場所。
土曜日も日曜日もにぎやかなこどもたちの声が聞こえてきます。
主人が気になり、
「何してるの?」と聞くと「ここは秘密基地で5人で遊んでる」
という答えが帰ってきたそうです。
ゲームもおもちゃもいらない、昔も今もこどもは工夫して遊べるのだ
と思うと嬉しくなりました。
いつかは秘密基地から卒業するけれど、今は想像の翼を
おもいっきり広げて楽しんでほしいです。
このところ大阪で修行して実家に帰った若い料理人の人たちから
新鮮な魚が届くようになりました。
啓太君はカニで有名な兵庫県柴山に、祐一郎君は島根県安来市に
帰りました。
啓太君からはイカの刺身・のど黒・甘エビ・さごしなどが届き、
祐一郎君からはかますが届きました。
どれも新鮮でとてもおいしく、なにより心を込めて送ってくれたことが
ありがたく嬉しいことです。
二人とも実家が旅館で、跡取りとして大阪で修行に来ていて、
こちらで可愛い奥さんと出会いました。
若女将を連れて帰ったことが一番の収穫ではないかと思います。
これから料理はもちろんですが、人を使うことや経営のことなど
大変なことも多いかと思います。頑張ってほしいです。
9月22日(木)から30日(金)まで岡 晋吾・さつき展を開催しました。
今回は染付を中心にというリクエストに応えていただき
約140種類の器が並びました。
呉須を自在に操り、びっしりと描き込まれたものやシンプルなものなど、
染付の良さを再確認しました。
若い料理人の人たちも数多く来てくれ、すぐに使いたいと
喜んで持って帰って行きました。
今年は個展が多く、忙しい中たくさんの素敵な器を作ってもらい、
おふたりに感謝です。
10月8日(土)から14日(金)「田中佐次郎展」を開催しました。
今回は食器を作ってくださいという無謀なお願いにも関わらず、
いろいろな器が並びました。
三回目の窯焚きを終え、なるべく長い時間窯の中に入れておくため、
朝一番の飛行機で先生はいらっしゃいました。
大きなキャリーバッグの中には手入れしたばかりのぐい呑や食器が
ぎっしりと詰まっていました。
バッグに入りきらなかった作品は初日の夕方に届きました。
絵唐津をはじめ、黄檗・辰砂・翠洋・灰釉など
今まで見たことのない色とりどりの器に目を奪われました。
2時間しか寝ていらっしゃらないにも関わらず、
夕方までお客様を楽しませるため一生懸命お話をされ、
夜は夜でお客様たちに囲まれ賑やかに過ごされました。
来年80歳の佐次郎先生ですが、
人並み外れたこのパワーは一体どこから生まれるのかと
思ってしまいます。
10月29日(土)から11月4日(金)「渡邊 明 硝子展」を開催します。
今年最後の企画展となります。
以前からグループ展には何度も参加していただきましたが、
個展は今回で2回目となります。
渡邊さんの切子をひと目見ると、誰もがその輝きに魅入られてしまいます。
江戸切子・薩摩切子と日本人にはなじみのある技法ですが、
渡邊さんの切子はまた違った趣があります。
以前は被せガラスと呼ばれる二層になったクリスタルガラスを
カットしていましたが、国内でこのガラスを作っている工場は
ありません。
そこで渡邊さんは板ガラスをカットし、二層三層にして型に置き、
窯でガラスを接着し形を作る「積層」と呼ばれる作品を手掛けるように
なりました。
合わさったそれぞれのガラスにカットが施され、色の粒や金線・銀線・蒔絵に
使われる金の丸粉などを入れ、さらに外側をカットするという恐ろしく
手間のかかる作品を作っています。
そのため非常に複雑な光の屈折が生まれ、それが見る人を
魅了します。
カットされた生地は擂りガラスの状態です。丁寧な磨きがあって、
元の輝きが戻ります。
ひとつの作品ができあがるまでに、地道な作業が続きます。
やきものの個展のような点数はありませんが、HPでも一部
ご紹介します。
ぜひこの機会にご覧いただきたいと思います。
巷談舎 山根幸子
2016年9月 巷談舎便りvol.118
長かった夏が終わり、九月も半ばになり
ようやく朝晩が過ごしやすくなってきました。
昨夜は中秋の名月。
残念ながら雲が厚く、見ることができませんでした。
八月の終わりにお休みをもらい、主人と唐津に行ってきました。
私にとって実に三年ぶりの唐津です。
初日の朝、食料の買い出しをして、山瀬の佐次郎先生のところに
伺いました。
10月8日からの個展の作品を持って帰るためです。
くねくねと曲がりながら、ひたすら山道を登っていきます。
どこまで行っても山また山。標高700米。
「こんなに遠かったっけ?」と思わず口にしてしまうほどでした。
見慣れた石造りの門が見えた時はほっとしました。
仕事場は綺麗に片付けられていて、土間を通り抜けると、
囲炉裏のある部屋に手入れされたばかりの作品がずらりと
並んで迎えてくれました。
先生の茶碗でお茶をいただき、時折ひんやりとした風を感じながら
景色を眺める至福の時間。
いろいろな話の中で、先生から実際の手紙で候文の読み方を教えて
いただきました。
「ね、ここにあるこの小さい字が候の崩し字で、可や不は漢文と
同じで後から読むんだよ。」
先生からよくお手紙をいただくのですが、達筆なうえに候文とあって、
いつもほとんど読めないのです。
昼食後、またお茶をいただき、浪曲まで飛び出します。
気がついたら5時間経っていました。
慌ただしく車に作品を積み込み、「あと二窯炊くからね。」という
嬉しい言葉に送られ山瀬を後にしました。
ちなみに大阪に帰り、佐次郎先生からの手紙をもう一度
読み返しましたが、やはり読めませんでした・・・
その後、自然坊さんの奥さんと恭平さんの待つ玄海町の自然坊窯へ。
山瀬からは携帯が使えず、連絡がすっかり遅くなってしまいました。
まず、自然坊さんのお墓に行き、六月の個展のお礼と報告をしました。
奥さんと恭平さん、随分待っていてくださったようで、
申し訳なかったです。
二日目は武雄温泉の東洋館さんでお湯に浸かり、
のんびり過ごしました。
翌日朝に東洋館を出発し、伊万里の塩鶴さんの所へ向かいました。
塩鶴さんには行くことを事前に知らせていなかったのですが、
到着する直前になんと塩鶴さんから電話が入りました。
注文の品が出来上がったとの連絡でした。
「実はもうすぐ塩鶴さんのところに着くんだけど。」
あまりのタイミングに塩鶴さんも私たちもびっくりです。
こんなことがあるんですね。
夜は矢野さんが大八車に予約を入れてくれ、安永さん・竹花さん
・田中さん・恭平さんが集まりたくさん呑んで食べて、
にぎやかな夜を過ごしました。
久しぶりの唐津、楽しい夏休みとなりました。
さて今月9月22日(木)から30日(金)まで岡 晋吾・さつき展を
開催します。
今回は染付を中心に作ってもらうようお願いしました。
先日電話を入れると、今それぞれ一生懸命描いているとのこと。
もちろん食器がメインです。
どんな作品が出来上がってくるのか、とても楽しみです。
約140点並びます。
岡さん・さつきさんは24日(土)・25日(日)にいらっしゃいます。
ぜひご覧ください。
10月の企画展は10月8日(土)から14日(金)「田中佐次郎展」
10月29日(土)から11月4日(金)「渡邊 明切子展」をそれぞれ
開催します。
こちらは次回詳しくお伝えします。
巷談舎 山根幸子
2016年 8月 巷談舎便りvol.117
毎日暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?
三か月ぶりの巷談舎便りをお送りいたします。
5月14日からの池西 剛展から始まり、7月1日に終了の
唐津からの風までの2か月半。
立て続けの企画展で搬入・搬出・片付けの繰り返しで
目の回るような忙しさでした。
7月に入ってからは箱が次々に届き、今度は発送に追われる
毎日でした。
この間主人は首を私は腰を痛めてしまい、今も痛み止めを飲みながらの毎日です。
やっぱり年には勝てません。
5月20日まで開催の「池西 剛展」。
器と酒器だけに限定した個展でした。
池西さんらしい端正な器がたくさん並びました。
今回初めて青瓷も登場しました。来年も個展を予定しています。
こんな器を作ってほしいという要望があれば言ってくださいと
宿題が出ました。
5月28日から6月3日まで「金重潤平・細川護光・矢野直人展」を
開催しました。
ご存知の方も多いかと思いますが、細川さんは熊本の南阿蘇村に
窯を持っています。
4月の熊本地震で窯が全滅してしまいました。
窯を築いてまだ4年でした。
今回は写真撮りに送られてきた作品だけでやるしかないと思っていましたが、「大丈夫です。なんとかします!」という心強い言葉通り、
約80点の作品が届きました。
金重さんは窯焚きを終えたばかりで、主人が備前まで走り
窯の中から作品を選び出し、金重さんを連れて帰ってきました。
そのため金重さんは作品を店で手入れ(洗ったり・磨いたり)
するはめになってしまいました。
そのかいあって、焼けの良い作品がたくさん並びました。
矢野さんは今までの斑唐津・朝鮮唐津だけでなく、
今回は李朝・三島・黒釉の作品が多く並びました。
器も多く、矢野さんらしい丁寧な仕事ぶりは相変わらずです。
6月11日から17日まで「唐津からの風 前期」を開催しました。
梅田健太郎さん・梶原靖元さん・塩鶴るり子さん・中川恭平さんの
四人です。
梅田さんも熊本の宇土市で余震の時にはすぐ連絡がつきましたが、
翌日の本震の時にはなかなか連絡がつかず、本当に心配しました。
幸い家族に怪我もなく無事がわかって安心しました。
梶原さんはすぐ後に個展を控えていたため、点数は少なかったものの、良い作品を選んで出してくれました。
塩鶴さんにはいつもお料理屋さんの器をお願いしていて、
今回初めての参加です。
高校卒業後、有田で10年修行し、28歳の時伊万里に移り、
土ものをするため登り窯を築きました。
以来30年、器を作り続けています。
今回70種類を超える器が並びました。
中川恭平さんは今年で3回目の参加となりました。
年々腕が上がっていくのがわかります。
前回取るのが難しかった朝鮮唐津俎板皿も今回はちゃんと
クリアしました。
一歩一歩確実に課題をこなしていく恭平さんのこれからが楽しみです。
6月18日から23日まで「最後の自然坊展」を開催しました。
自然坊さんが亡くなって今年で4年になります。
生前、800回を優に超える窯焚きをしていた自然坊さんですので、
まだまだ作品が残っていました。
その中からひとつずつ手に取って選んできたものが今回並びました。
茶碗・花入・片口鉢・ぐい呑・徳利など合わせて約140点。
圧巻でした。
前日の入れ替えは恭平さんに手伝ってもらいました。
初日は九州・岡山・東京・和歌山など遠いところからも
お客様がいらっしゃり、自然坊さんがこんなにもまだ愛されていることを実感しました。
6月25日から7月1日まで「唐津からの風 後期」を開催しました。
後期のメンバーは内村慎太郎さん・竹花正弘さん・安永頼山さんの
3名です。
内村さんはいつものように井戸・山瀬・奥高麗・絵唐津・斑唐津など
たくさんの種類の酒器が並びましたが、今回特に良かったのは
朝鮮唐津の器でした。
どれもお料理屋さんが喜びそうだなと思っていましたが、
思った通りすべてお料理屋さんに嫁ぎました。
竹花さんは近年唐津の他に白瓷を手掛けています。
今回は染付も登場しました。
竹花さんの唐津の作品には派手さはないのですが、
本来唐津ってこういうものだよねという気がします。
これからの活躍が楽しみな作家です。
安永さんは味のある唐津に加え、辰砂・白珠・緑水などの
ぐい呑が登場しました。
辰砂は佐次郎先生のものとはまた趣が異なり、
淡い紅色が美しく、白珠・緑水とともにぐい呑好きの方や
女性にも喜んでもらえることと思います。
毎年若い作家の人たちの作品を見ることができ、
それぞれの活躍を目の当たりにして、本当にやきものや冥利に
尽きます。
実際この2か月半は体力の衰えを感じるものでもありましたが、
それ以上の喜びや愉しみをもらいました。
さて、次回の企画展は9月22日(木)から30日(金)まで
「岡 晋吾・さつき展」を開催します。
今回は染付を中心にお願いしました。
先日大きな段ボールが2箱届きました。
この中から写真撮りの作品を選びます。
こちらは次回詳しくお伝えします。
巷談舎 山根幸子
2016年 5月 巷談舎便りvol.116
連休に可愛いお客様が我が家に来てくれました。
みちおくんとちー坊です。
前回来てくれた時に作ったグラタンをリクエストしてくれました。
その日はママと三人で京都の上賀茂神社で行われた
賀茂競馬(かもくらべうま)という神事を見に行ったそうで、
家に来た時はなぜか三人とも浮かない顔をしていました。
「面白かった?」と聞くと、「馬が走っただけ・・・」という返事。
ママがせっかく連れて行ったけど、小学生のふたりは
楽しくなかった様子。
電車を降りて家に向かう途中、がっかりしたママを見て、
お兄ちゃんは「お母さん、面白かった。また行こうね。」
弟は「せっかく連れて行ってくれたのに楽しめなくてごめんなさい。
それと電車で隣のおばちゃんにもたれて寝てごめんなさい。」と
言ったそうです。
どちらもママを気遣っての言葉でしたが、正直に言わなかった
お兄ちゃんは思ってもいないことを言うとまたまた叱られてしまった
そうです。
主人と娘が帰って来て、にぎやかな食卓になりました。
翌朝ちー坊が起きてきて、開口一番「あー!昨日は○○ちゃん(娘の名前)と会えて楽しかったなあ!」
と言ったそうです。
ちなみに次は鶏の唐揚げが良いそうです。
先月4月23日(土)〜29日(土)まで古賀雄二郎・藤井憲之展
−黒と白のうつわ−を開催しました。
古賀さんと藤井さんは以前瀬戸で隣同士の工房で仕事をしていました
その後古賀さんは愛知県新城市に移りました。
古賀さんはベーシックな黒の器がたくさん並び、
藤井さんはお料理屋さんが喜びそうな台皿が数多く並びました。
わざわざ岡山から見にきてくださったお料理屋さんもありました。
久々の食器展で楽しかったです。
さて、一昨日から20日まで開催の「池西 剛展」。
今回5年ぶりの個展となります。
池西さんは器もとても魅力的で、今回器と酒器だけの個展にしたいと
お願いしていました。
見事に器が並んでいます。
ぐい呑・徳利を含めて82種類、器は5客組・6客組なので
点数にするとかなりの数になります。
本当に頑張ってくださいました。
粉引は今までの粉引とはまた趣が違い、釉薬が溜まったところは淡いブルーになっています。
端正で美しい器です。
作っていて心地よかったそうです。
初めての青瓷も登場しました。
このあと少しずつ見られると思います。
二日間いろんなお話ができ、仕事に対する真摯な姿勢に頭が
下がる思いです。
まだまだたくさん並んでおりますので、ぜひご覧いただきたいと
思います。
5月28日(土)から6月3日(金)まで毎年恒例の
「金重潤平・細川護光・矢野直人展」を開催します。
DMも出来上がってきました。
個展が多く、多忙な三人ですが、今年はどんな作品が並ぶのか
とても楽しみです。
こちらもぜひご覧ください。
6月の企画展
6月11日(土)から7月1日(金)「唐津からの風」を開催します
こちらは次回詳しくお伝えします。
巷談舎 山根幸子
2016年 4月 巷談舎便りvol.115
昨日の雨で一番のお気に入りスポットの桜がほとんど
散ってしまいました。
近くの小学校の校門に見事な桜の木があります。
桜が咲くと夜ライトアップされます。
小学校の前の池の周りにも桜の木が植えられていて、
店の行き帰りに桜を見ることができます。
もう少し楽しみたかったなあ・・
先日母を連れて実家に帰ってきました。
駅からタクシーに乗ると珍しく交通渋滞しています。
近所のコンビニには満車の札を掲げたガードマンが。
「今日は何かあるのですか?」と運転手さんに聞いたところ
「花見客ですよ。」という返事。
日曜日だったことにようやく気づきました。
実家は後楽園と岡山城の近くで、車はほとんど花見客のものだ
そうです。
近くの神社の前にも人だかりが。
神社の境内で音楽祭が開かれていました。
家の前を観光客の人たちが歩いています。
外国人観光客の姿も目立ちます。
こどもの頃には想像もしなかった光景です。
家に着くと冷蔵庫が壊れていました。
電気屋さんも定休日で連絡がつきません。
すでに食料を買っていたので、コンビニに行くと
花見客の人たちが調達したらしく、氷が売り切れていました。
次に行ったスーパーも売り切れ。
てくてく歩いてようやく3件目で氷を手に入れることができました。
花見がちょっと恨めしい日となりました。
3月12日から18日まで「荒川尚也ガラス展」を開催しました。
今回の新作の中にホウ珪酸の茶海や茶杯が登場しました。
ホウ珪酸は耐熱性のガラスです。
荒川さんのほとんどの作品はソーダガラスで熱に弱いのですが、
茶碗もホウ珪酸ガラスを使うことで
熱いお湯を注ぐという点をクリアしました。
以前は何度もお湯を注ぎ、実際に試してから出す
ということをしていたそうです。
今回の茶杯、燗酒にもぴったり。
酒呑としてはまた楽しみが増えました。
宙吹きガラス・キャスト(鋳造ガラス)にサンドブラストを
組み合わせるなど、ガラスの可能性はまだまだ広がります。
来年もぜひお楽しみに!
さて、今月は4月23日(土)〜29日(土)まで
古賀雄二朗・藤井憲之展 −黒と白のうつわ−を開催します。
古賀さんは愛知県新城市で藤井さんは瀬戸市でそれぞれの
仕事をしています。
お二人共食器のスペシャリストです。
今回は黒と白の器をテーマに食器を作っていただきました。
古賀さんの黒い食器シリーズはすべて薪の窯で作られたものです。
深い黒が料理を引き立たせてくれます。
今、窯焚きの最中です。
藤井さんは青白磁・白磁を中心にシンプルで
使いやすい器や台付のマニアックな器が並びます。
DMでは意図的に片面ずつ印刷しました。
片方が古賀雄二郎展・もう片方が藤井憲之展となっています。
裏表がないので、両面見ていただきたいと思います。
毎日の食卓に定番となるうつわやお料理屋さんで使えるうつわまで、
久々に食器メインの企画展に心躍ります。
初日・二日目の二日間、お二人がいらっしゃいます。
ぜひ、ご覧ください。
5月の企画展
5月14日(土)〜20日(金) 池西 剛展
5月28日(土)〜6月3日(金) 金重潤平・細川護光・矢野直人展
こちらは次回お伝えします。
巷談舎 山根幸子
2016年 3月 巷談舎便りvol.114
今日は冷たい雨が降っています。
昨日と比べるとかなり肌寒い一日となりました。
暖かかったり寒かったりとなかなか安定しません。
この時期関西ではイカナゴのくぎ煮を作る人が多く、
スーパの店頭にもくぎ煮用の醤油や水飴、
塩漬けの山椒、くるみなどがたくさん並びます。
3月7日にイカナゴ漁の解禁となりましたが
海水温が高かったため、なかなか捕れないそうです。
いつもなら生のイカナゴがたくさん並びますが、
今年はとても少なく、値段も高いです。
主人はクギ煮よりもイカナゴの親のかますごや
イカナゴを茹でた新子が好きで、
この時期は食卓に欠かすことのできないものです。
以前は私もクギ煮を作っていましたが、
いろいろな方から頂き、それぞれの家の味があって、
私が作るより数段おいしいので作るのをやめました。
今年はどうかなあ・・・
ちょっぴりあてにしている今日この頃です。
先月は2月20日(土)から27日まで「TANBA 讃歌」を開催しました。
初めての企画展でしたが、たくさんのお客様が来てくださいました。
出品作家は市野雅彦さん・今西公彦さん・清水 剛さん
・西端 正さんですが、嬉しい飛び入り参加がありました。
大上伊代さんです。大上さんはまだ20代半ばという若さです。
日本の縁起物や妖怪から着想を得た人形などの作品を作っています。
おどろおどろしい中に可愛さがあり、
「おどろかわいい」を目指しているそうです。
細かい装飾を施した狐・天狗・達磨の大盃が並びましたが
圧巻は兎の守り神でした。
兎がご主人様を邪気から守っているのですが、
兎の下に組み敷かれている邪気の形相が凄く、
兎とご主人様の愛らしさとの対比がとても面白かったです。
全くタイプの違う作品が並びましたが、
大上さんが20代、清水さんは40歳になったばかり、
今西さんが40代半ば、市野さんが50代、
西端さんが60代とそれぞれの世代を代表する丹波の今を
ご覧いただけたと思います。
期間中、丹波の若手の作家の方たちとも出会うことができ、
これからの楽しみが増えました。
以前備前や唐津を発信していったように、これから先
丹波を発信していけたらと思っています。
さて、3月12日から開催の「荒川尚也ガラス展」、ただいま開催中です。
全部で394点。
店の中は荒川さんのガラスで埋め尽くされ、
「荒川ワールド」となっています。
毎年新しいアイテムが増えていきます。
荒川さんは什器もキャンドルスタンドの鉄の台座も
なにもかも自分で作ってしまいます。
溶接・旋盤もできるなんて本当に凄すぎです。
今回DMの裏のページに載っている魚のオブジェ。
もちろん動きます。そして啼きます。(音が鳴ります)
古い秤と掛け時計と石とガラスと金属でできています。
個展に間に合わせるために徹夜をして、家族から
呆れられたそうです。
私が奥さんでもきっといい加減にしなさいと言うはずです。
説明をする時の荒川さんは少年のようです。
18日まで開催しております。ぜひご覧ください。
4月の企画展
4月23日(土)〜29日(土)
古賀雄二朗・藤井憲之展 −黒と白のうつわ−を開催します。
こちらは次回詳しくお伝えします。
巷談舎 山根幸子
2016年 2月 巷談舎便りvol.113
三年前に植えた水仙が昨年から咲くようになりました。
今年も可憐な花を咲かせています。
昨日はバレンタインデー。一昨日、可愛いプレゼントが届きました。
娘の友達のこどものさくらちゃんとゆずちゃんが手作りのチョコレート
クッキーとカップケーキを作ってくれました。
ふたりとも娘と遊ぶのが大好きで、お正月にも遊びに来てくれました。
娘のために作ろうということになり、それならおばあちゃん・パパ・ママの分も作らなきゃということになったそうです。
夕方渡しに来てくれたのですが、外から覗いた時に主人が店の奥に
いて、「パパがいなかった」と言って一旦家に帰ったそうです。
「中に入って声をかけなさい」とお母さんに言われ、
もう一度来てくれました。
元々とても恥ずかしがり屋さんなので、店のドアを開けるのには
きっと勇気がいったことでしょう。
四つの袋にはそれぞれ娘の名前・おばあちゃんへ・パパへ・ママへと書いてあり、母は食べるのがもったいないと飾っています。
嬉しいバレンタインデーとなりました。
1月16日から30日まで「ぐい呑100撰」を開催しました。
初日朝早くからたくさんのお客様に来ていただきました。
朝一番で飛行機でいらっしゃった方、岡山から車でいらっしゃった方、
何度も足を運んでくださった方、年の始めだからと来てくださった方。
いつもながら頭が下がります。
休みなしの2週間でしたが、年に一度のお祭りのようなもので、
懐かしいお顔や新しい出会いもたくさんあり、
たくさんのぐい呑がそれぞれのお客様のもとに嫁ぎました。
今年は特に若い女性が多く、日本酒ブームと言われていることを実感しました。
さて、今月は2月20日(土)から27日まで「TANBA 讃歌」を開催します。
ご存知のとおり丹波焼は日本六古窯のひとつとされ、
関西ではとても身近なやきものの産地でもあります。
それでも近年の備前や唐津のように取り上げられることが少ないように思います。
備前は備前土による焼〆・唐津は絵唐津・斑唐津・朝鮮唐津・
無地唐津など一定のスタイルがあります。
ひとくちに丹波焼といっても丹波焼には古くからの焼〆に加え、
いろいろな釉薬を使った焼物が混在しています。
5年前に亡くなった西端大備君はいつも丹波焼をもっと世の中に
広めたいと言っていました。
今、丹波ではいろいろな企画が催されています。
今回の丹波展、出品作家は市野雅彦さん・今西公彦さん・清水 剛
さん・西端 正さんです。
市野雅彦さんのものづくりの姿勢は独自のスタイルを確立しています。
しっかりとした基礎に裏付けされた形や装飾が魅力です。
西端 正さんは力強い焼〆・灰釉・古くからの赤土部で丹波の土の
魅力を教えてくれます。
今西公彦さんのエネルギッシュな仕事ぶりは黒丹波・白丹波・なまこ釉など、焼き物は焼くことなのだと感じさせてくれます。
清水 剛さんはお父様の俊彦さんから受け継いだ民芸の仕事と
本来の自分の仕事と二足の草鞋を履いています。
塩釉の鎬・面取には懐かしさを、繊細な刻文には清水さんの優しさを感じます。
ベテランの市野さん、西端さんに若い今西さん・清水さんが加わり、
全くタイプの違う四人の作品が並びます。
丹波焼の今を感じていただけることと思います。
ぜひご覧いただきたいと思います。
3月の企画展
3月12日(土)から18日(金)荒川尚也ガラス展を開催します。
こちらは次回詳しくお伝えします。
巷談舎 山根幸子
2016年 1月 巷談舎便りvol.112
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申しあげます。
今年は暖かいお正月が迎えられました。
元旦には娘の友達がたくさん集まり、とてもにぎやかな年明けと
なりました。
お節を2ヶ所から頼むため、家族だけではなかなか食べきれないので、
昨年から娘の友達が来てくれるようになりました。
去年はふたりだったのが、今年はおとな3人とこども2人の計5人。
おとなは全員お酒が好きなので、ビール・日本酒・ワインを
いろいろ取り揃えておきました。
普段静かな我が家ですが、久々にこどもたちとトランプをしたり、
写真を撮ったり、たくさんの笑い声に包まれ、母も楽しそうでした。
さて、1月16日から30日まで開催の「ぐい呑100撰」がいよいよ
始まります。
ぐい呑展の準備で店は開店休業の状態です。毎日次々と荷物が
届いています。
主人はせっかちなので早く見たい一心からか、包んでいる新聞紙を
片付けてくれません。
結果、店は新聞紙に埋もれ、床が見えない状態になってしまいます。
ぐい呑を出しながら、いちいち「これはいいな」とか
「ちょっと見にきてごらん」と私を呼んだりしますが、
いつも他の作業をしているので「後で見るから」となかなか
これには応じられません。
私は作家のリストを見ながら、プライスカード作りに追われています。
以前はひとつひとつペンで書いていましたが、今はパソコンのおかげで
作業がかなり楽になりました。
作家名と作品名を打ち込みながら、これはどんなぐい呑なんだろうと
想像します。
プライスができたら、リストの番号を書入れ、ぐい呑の中にプライスを
入れていきます。
「初めまして」という感じで、実際に見ると想像とずいぶん違っていたり
想像通りだったり、これが結構楽しみです。
一昨日、池西 剛さんと戸田優美子さんが突然現れました。
京都に行った帰りだそうです。
池西さんはひょっこり来てくれることが多く、
ふたりそれぞれに並んでいるぐい呑をひとつずつ手に取って
時間をかけて見ていました。
5月に池西さんの個展を予定しているので、そのことも含めた
話ができて、ありがたかったです。
DMができた後で、参加してくれることになった作家もいます。
全部で53名。
今回もぐい呑・徳利・片口などの酒器が約600点集まります。
HPではすべてをお見せできないのが残念ですが、なるべく
たくさんの酒器をご紹介したいと思っています。
ぜひご覧ください。
2月の企画展
2月20日(土)から27日まで「TANBA 讃歌」を開催します。
出品作家は市野雅彦さん・今西公彦さん・清水 剛さん・西端 正さんです。
こちらは次回詳しくお伝えします。
巷談舎 山根幸子
2015年12月 巷談舎便りvol.111
12月に入り、街はクリスマスのイルミネーションに彩られています。
先日唐津から自然坊さん一家が大阪に来てくれたので、
堂島の焼鳥YAMATOさんに行ってきました。
久しぶりの夜の街はとても華やかでした。
YAMATOさんは自然坊さん・恭平さんの器をたくさん使ってくださっていて、
実際に盛り付けられている器を見てほしかったのです。
自然坊さんの朝鮮唐津の向付や恭平さんの刷毛目の角皿などに
綺麗に盛られたお料理。
みんな喜んでくれました。
趣向を凝らしたおいしい鳥料理とお酒、楽しい話で
気が付けば3時間が経っていました。
12月は干支の置物が店に並んでいます。
小澤順一さんのさるの人形・津守愛香さんの孫悟空・さるの水滴。
山田裕子さんの干支の豆皿はもうすぐ出来上がってきます。
一年が早いなあとつくづく思います。
来年1月16日から30日まで開催する「ぐい呑100撰」の写真撮り用の品が
毎日届いています。
今年はどんなぐい呑を送ってきてくれたのかと荷物を開けるのが楽しいです。
残念ながら写真撮りに間に合わなかった方も多いのですが、
ずらりと並んだ酒器を前にどれをDMに使うか悩むところです。
沖縄の金城博美さんの荷物の中に嬉しいプレゼントが入っていました。
金城さんの87歳になるお母さんが作られたものです。
ボタンのブローチや野菜の箸置き、きのこ・タケノコ・ナスなど
なかなかの腕前です。
金城さんの仕事場で作っていらっしゃるのです。
早速家に持ち帰り、母に見せました。母はブローチをとても気に入り、
さっそくジャケットに付けていました。
今回初めて参加してくれるのは信楽の植葉香澄さん・Derek Larsenさん
・唐津の田中孝太さんの3名です。
益子の竹下鹿丸さんもまた参加してくれます。
植葉さんとラーセンさんは梶原さんの個展に来てくれました。
私たちがお世話になっている杜氏さんからの紹介でした。
話をしていると共通の知人がとても多く、それならと参加をお願いしました。
田中孝太さんは自然坊さん最晩年の弟子です。
矢野直人さんの友人でもあり、恭平さんと共に修行していました。
今回もぐい呑・徳利・片口などの酒器が約600点集まります。
HPではすべてをお見せできないのが残念ですが、
なるべくたくさんの酒器をご紹介したいと思っています。
ぜひご覧ください。
少し早いですが、どうぞ良いお年をお迎えください。
巷談舎 山根幸子
2015年11月 巷談舎便りvol.110
すっかりご無沙汰しております。
8ヶ月ぶりの巷談舎便りです。
長い間更新しないまま、気が付けば春から夏を過ぎ、すでに
晩秋となってしまいました。
お母さんの具合が悪いのかと心配してくださる方、
忙しいんだねと声をかけてくださる方があり、
皆さんにご心配をおかけしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。
母は元気ですが、物忘れが激しく、薬の管理や風呂の世話など
家での仕事は確かに増えました。
忙しくはありますが、一度さぼると腰が重くなってしまいました。
やっと重い腰をあげることができました。また再開します。
先日、日帰りで主人の母に会いに行きました。
先月体調を崩し、入院していたので様子を見に行きました。
去年の夏の誕生日の時の写真がベッドの横に貼ってありました。
去年から比べると随分痩せています。
持って行った洋梨をおいしそうに食べてくれました。
朝早くに車で出発しました。
中国道から外を見るとうっすらと明るくなっていきます。
遠くの山並みはまるで墨絵のように幾重にも黒い影を作っていて、
近づくに連れて紅葉の山がはっきりと見えてきます。
帰りの山陰道は夕焼けを背に走りました。
主人が「後ろを見てごらん」と言うので振り返ると
真っ赤な夕日を見ることができました。
春は曙と言いますが、秋の曙も夕焼けもとても趣があり、
名所旧跡ではなくてもこんなふうに景色を楽しむことができるのだと嬉しくなりました。
さて、10月は10日から16日まで「田中佐次郎展」、
24日から30日まで「梶原靖元展」と2度の個展で、文字通り唐津月間となりました。
佐次郎先生は益々お元気で、月に2回の窯焚きをなさっています。
それでも思うような作品がとれないことが多く、その中のほんのひと握りの
作品だけが日の目を見ることになります。
普段は穏やかで楽しい方ですが、仕事に関しては本当に厳しい方です。
来年ニューヨークでの個展を控えており、これからの作品が
どのように変わっていくのか楽しみでなりません。
梶原さんは2008年から開催の「唐津からの風」に
参加してもらっていました。
今年からそのメンバーのひとりずつの個展を開催することにし、
初回の今年は梶原さんにお願いしました。
約100点の作品が並びました。
斑と絵唐津、なかなか見ることのできない食器もあり、
梶原さんの仕事ぶりがよくわかる展示となりました。
石を砕き、陶土と釉薬を作ることは時間も手間も並大抵ではありません。
梶原さんにとっては当たり前のことですが、説明を聞いていると気が遠くなります。
佐次郎先生と梶原さん、全く仕事の違うお二人ですが、
「現在の唐津」を語るうえで外せない方たちだと痛感しました。
今年の企画展はこれで終了です。12月は干支展という形はとりませんが、
店頭に干支の皿・置物が並びます。一部はHPでご紹介する予定です。
次回の企画展は来年1月16日から30日までの2週間
「ぐい呑100撰」を予定しております。
こちらは次回詳しくお伝えします。
巷談舎 山根幸子
2015年3月 巷談舎便りvol.109
昨日の寒さが嘘のように暖かい日となりました。
あちこちで満開の梅の花を見かけます。
我が家の庭でも昨年植えた水仙が咲き、ようやく庭らしくなりました。
日も長くなり、春の訪れに心が浮き立つ思いです。
先日とても嬉しいプレゼントをいただきました。
先月の巷談舎便りに高田 郁さんの「みをつくし料理帖」を読んでいることを
書きましたが、これを読んでくださった東京のYさんから高田さんのエッセイと
お手紙をいただきました。
Yさんも読まれたそうで、本の中に出てくる俎橋はいまでもちゃんとあって、
神保町の古書店街に行く時にいつも渡られるそうです。
思いもかけないプレゼントに感激しました。
東京に行った時に時間があると神田の古書店街には必ず行くのですが、
今度行くときには俎橋を渡ろうと思います。
他にも若い料理人のF君からも「普段本をあまり読まないのですが、
みをつくし料理帖一気に読みました。」と言われ、
F君も読んでくれていることが嬉しかったです。
さて2月21日(土)から27日(金)まで「荒川尚也 ガラス展」を開催しました。
前日の20日の朝、トラックで荒川さんとスタッフ二人がやってきました。
什器と作品が次々と運び込まれ、什器のセッティングが始まります。
照明器具の取り付けや什器を置く場所など荒川さんの指示の元、
スタッフが動きます。
いつも什器は荒川さんの手作りのもので今回もとても素敵な棚が置かれました。
「これいいなあ」「いつでも作ってあげるよ」溶接や旋盤もお手の物。
「すごい!」の一言に尽きるのです。
今回は酒器やグラスをこの棚にひとつずつ並べ、
スポットライトが当たるようにしました。
この一角がおしゃれなバーのようになりました。http://d.hatena.ne.jp/koudansha/
毎回趣向を変え、しつらえを考えて来てくれるのが楽しみです。
店の表は自然光が入り、奥はスポットライトで演出。すっかり荒川さんの世界です。
結局セッティングが終わったのは午後6時過ぎでした。
昨年に続き、鋳造ガラスのジュラシックシリーズ・キャストも新しい作品が登場。
耐熱ガラスを使った茶碗は高台部分がまるで土もののような風合いに仕上がっていて、
「DMを見て、この茶碗を確かめるために来た」という方もありました。
また、「ガラスの器を探していた」という料理屋さんが意外に多く、
とても喜んでいただけました。
来年はどんな個展になるか楽しみです。
3月は21日(土)から27日(金)まで「My Favorite Things − 私のお気に入りー」を
開催します。
出品作家は有田の寺内信二さん・東京の十時啓悦さん・
瀬戸の藤井憲之さんの三名です。
寺内さんは染付を中心に、十時さんはデザイン性のある漆器を、
藤井さんは青白磁・白磁・金磁などの器が並びます。
春らしい爽やかな企画展となりそうです。
4月の企画展 4月18日(土)から24日(金)内田鋼一展
巷談舎 山根幸子
2015年2月 巷談舎便りvol.108
今年初めての巷談舎便りです。
ひと月遅れのご挨拶となりますが、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
立春を過ぎましたが、まだまだ寒い日が続いています。
それでも八百屋さんで菜の花や新玉ねぎ、春きゃべつを買い、食卓で一足早い春の訪れを感じています。
今、高田 郁の「みをつくし料理帖」という本を読んでいます。
もともと友人が私の母にくれた本でしたが、母が全部読んだので
私も読むことにしました。
幼い頃に両親を亡くした大坂の女の子が江戸に出て数々の困難を乗り越えながら
料理人として成長していくというストーリーですが、
この中の料理がとても面白いのです。
季節ごとの旬の素材を生かした料理がたくさん出てきますし、
関西と関東の食文化の違いなどもよくわかります。
巻末にレシピも一部載っていますが、すべて作者の高田さんが自ら作ってみたということです。
この中に生麩作りのレシピもあり、これを作ったのかと思うと驚きです。
中には私にも作れそうというものもあり、全巻読み終えたらチャレンジしてみようと思っています。
さて1月の企画展はぐい呑100撰でスタートしました。
1月5日の仕事始めから準備に取り掛かりました。
早々と送ってくれた人もありましたが、大部分は15日前後に届きました。
今年も約600点の酒器が集まりました。
主人は荷物を開けぐい呑を並べ、私はリストを見てプライスカードを作ります。
この時に店にいらっしゃった方はよくおわかりになると思いますが、
店の中はダンボールと新聞紙の山で足の踏み場もなく、開店休業状態です。
今年はどんなぐい呑が来たのか早く見たい、その一心です。
初日にはなんとか並び終えることができました。
朝早くからお客様がたくさんいらっしゃいました。
関東や岡山など遠くから来てくださった方もあり、嬉しいかぎりです。
皆さんの喜んでくださる姿を見ると連日の疲れも吹き飛びます。
やきものでは備前の小出尚永さん・丹波の清水 剛さん・唐津の岡 さつきさんが、
漆は近藤 保さんの4名があらたに加わりとても内容の濃いぐい呑展になりました。
ぐい呑展の時は作家もたくさん来てくれます。
今回も小出尚永さん・池西 剛さん・今西公彦さん・清水 剛さん・中村真紀さんが
来てくれました。
それぞれ他の作家のぐい呑を楽しそうに見ていました。
今回小学4年生の男の子がぐい呑を買ってくれました。
津守愛香さんのくじら盃です。ぐい呑を買った最年少のお客様です。
大事そうに持って帰ってくれました。
後で津守さんに報告すると、夫の石山哲也さんも小学生の時初めて
信楽の湯呑を買ったそうです。
また、赤ちゃんの頃よく来てくれていた男の子が20歳になり、
ご両親がお祝いにとプレゼントする姿も。
自分で選んだのですが、数年前、彼のお兄ちゃんがやはり20歳の時に選んだぐい呑と
同じものを選び、ご両親もびっくりしていました。
ひとりひとりの作家にも買ってくださるお客様にもそれぞれの物語があります。
それを繋ぐ楽しさをあらためて感じました。
さて次回の企画展は2月21日(土)から27日(金)まで「荒川尚也 ガラス展」を開催します。
これからの企画展は期間が一日短くなり7日間となります。
少し時間的に余裕を持ちたいと思います。どうかご了承ください。
話を戻しますが、今回も荒川さんの息子さんに写真をお願いしました。
とても素敵なDMが出来上がりました。
耐熱性を高めたガラスの茶碗に新たなシリーズが加わり、香炉・香合などの
香りの器の新作も登場します。
もちろん定番のグラスや食器もあり、盛りだくさんの内容になります。
ぜひご覧ください。
3月の企画展 3月21日(土)から27日(金)
「My Favorite Things 私のお気に入り」寺内真二・十時啓悦・藤井憲之
こちらは次回詳しくお知らせします。
巷談舎 山根幸子
2014年12月 巷談舎便りvol.107
今年も残るところあと十日となりました。
今年は暖冬と聞いていたのに、12月に入ってからのいきなりの寒波襲来には
本当にびっくりしました。
二十日を過ぎると年末までのカウントダウンが始まったようで、
店の仕事や年賀状・家の掃除などお正月を迎えるまでに
しなければならないことが山積みで、気持ちばかりが焦ります。
結局いつものように家の大掃除の方は「まっ、いいか!」ということになりそうです。
先月11月29日・30日の二日間主人とふたりで京都に行ってきました。
親しくさせていただいているお客様から京都で一緒に食事をしようという
お誘いがあったからです。
紅葉の最後の土日とあって、京都の街は観光客で溢れかえっていました。
祇園に向かう四条大橋は大混雑でなかなか前に進めません。
余裕を持って出かけたのでなんとか待ち合わせ時間に間に合いました。
待ち合わせ場所の祇園花見小路は人がいっぱい歩いていましたが、
一歩路地に足を踏み入れると、ひっそりとした佇まいや打ち水をした石畳に
外灯が映え、とても素敵でした。
おいしいお料理とゆったりとした時間を楽しみ、外に出るともう人は
ほとんど歩いておらず、仕事を終えた芸妓さんと何度かすれ違い、
なんだか得した気分になりました。
翌日は百万遍から法然院を目指して、あちこち寄り道しながら歩きました。
法然院でガラスの荒川尚也さんの個展があるからです。
京都には学生時代から6年住んでいました。
主人も私も法然院はよく散歩に行ったなじみのある場所です。
30年以上の時が流れ、途中の道沿いには土産物を売る店ができ、
散歩の途中に立ち寄っていた喫茶店はもう営業をやめていました。
法然院も人がいっぱいでこんなにたくさんの人をここで見たのは初めてでした。
荒川さんの個展会場を探しましたが見当たりません。あちこちで聞きましたが、
みんなわからないという返事。
荒川さんに電話をしたところ、スタッフが「個展は明日からです」とのこと。
残念!なんと一日間違えていました。DMをちゃんと見ていなかったのです。
それでもこんな機会はめったにないのでゆっくり歩き回り、晩秋の京都を楽しみました。
さて来年1月の企画展はぐい呑100撰でスタートします。
期間は1月17日(土)〜31日(土)までの2週間です。
やきものでは備前の小出尚永さん・丹波の清水 剛さん、
漆は近藤 保さんの3名があらたに加わってくださいます。
12月初め、写真撮りのための作品が集まりました。
撮影も無事終え、今はDMができあがるのが楽しみです。
残念ながら撮影に間に合わなかった作家も多いため、DMにはすべての
作家の作品は写っておりません。
17日にはすべて揃いますので楽しみにお待ちください。
ホームページでも一部の作品をアップします。こちらも一生懸命がんばります。
12月の巷談舎便り、お送りするのが大幅に遅れてしまい申し訳ございませんでした。
どうか来年もよろしくお付き合いくださいませ。
少し早いですが、どうぞ良いお年をお迎えください。
巷談舎 山根幸子
2014年11月 巷談舎便りvol.106
立冬となり、朝晩冷えるようになりました。
母がこちらに来てから4か月が経ちました。
一時は歩くこともおぼつかなかったのが嘘のようです。
一か月ほど歩く練習にと主人が毎朝散歩に連れて行っていましたが、
今ではひとりで毎朝30分散歩をしています。
もちろん杖をついてですが、それでもすごい進歩です。
役に立ちたいと思う気持ちが強く、夕飯の下ごしらえを頼むのですが、
口頭で伝えると夕方にはすっかり忘れているので、
その日することをノートに書いてもらっています。
以前は夕食のメニューは家に帰るまでに考えていたのですが、
朝ノートを開けて待っている母を前にしてすぐに決めなくてはならず、
これがなかなか大変です。
なぜか料理をすっかり忘れていて、ノートに切り方の図解を書いておきます。
何を作るかを伝えなければ、どういう風に食材を切るかが理解できないからです。
母はこれを「今日の宿題」と言っていて、すべてできると達成感があるようです。
ひとりひとりが少しずつ気を遣う毎日ですが、それなりにペースができあがりました。
さて、10月は25日(土)〜11月1日(土)まで「田中佐次郎展」を開催しました。
今回はぐい呑を中心に約50点の作品が並びました。
初日に作品がすべて間に合わず、28日にようやくすべての作品が揃いました。
今回の個展の前に主人は佐次郎先生のところに伺いました。
ちょうど窯焚きの最中で、今回の第二弾の作品はこの時の作品でした。
最初に来た辰砂の赤も素晴らしかったですが、同じ辰砂でもこの時の辰砂は
全く違う作品としてできあがっていました。
「明鏡」と名付けられたぐい呑の次に「止水」と名付けられたぐい呑が届きました。
両方で「明鏡止水」。澄み切って落ち着いた心。
なるほどと納得してしまいました。
御年77歳、常に前進あるのみ。
やきものに向けるエネルギーの凄さに感心するばかりです。
佐次郎先生は東京でのお茶会を終え、最終日に立ち寄ってくださいました。
初日に来てくださったお客様が佐次郎先生に会いたいと
最終日にもたくさん来てくださいました。
いつもは飛行機でいらっしゃるのですが、今回は新幹線でとのこと。
途中「今名古屋だからね。」とお電話をいただきましたが、なかなかいらっしゃらない。
新大阪からタクシーに乗り、渋滞しているのか、道に迷っているのかと心配になり、
電話をしてみました。
電話で「もうすぐ豊中!以上!」と言われ、電話を切ってから主人に
「なんか佐次郎先生の声じゃなかったように思うんだけど・・・」
しばらくするとお客様のIさんと佐次郎先生がいらっしゃいました。
Iさんは佐次郎先生の荷物をすべて持ってくださっていました。
電話の声もこれで腑に落ちました。そう、Iさんの声でした。
佐次郎先生はなんと新大阪から電車を乗り継ぎ、阪急の駅で
バッタリIさんと出会い、二人でいらっしゃったそうです。
「先生、タクシーでいらっしゃると思っていました。」
「いやあ、豊中までの行き方を駅員に聞いたら、教えてくれたからね。」と涼しいお顔。
長旅での疲れを見せず、お客様と楽しそうに話をなさっているのには頭が下がります。
それにしても、連休中で混雑している大阪駅や梅田を羽織袴姿で
悠然と歩く佐次郎先生はきっと目立ったことでしょう。
さて、今年の企画展はこれで終わりとなります。
次回の企画展は2015年1月17日(土)〜31日(土)「ぐい呑100撰」を開催します。
12月たっぷり英気を養い、来年1月のぐい呑100撰に向けて準備を始めます。
巷談舎 山根幸子
2014年 10月 巷談舎便りvol.105
昨日お菓子をいただいたので、いつも遊びにきてくれるみちおくん兄弟に取りに来るよう連絡をしました。
お菓子や果物をたくさんいただいくと主人はたちまち「やまねじい」になります。
ふたりの喜ぶ顔が目に浮かぶのです。
夕方ちー坊とママが取りに来ました。
残念ながらみちおくんはサッカーの練習で顔を見ることができませんでした。
妙にもじもじくんのちー坊。なにか報告があるそうです。
小さな声で「かけっこ一番やった。」
昨日は幼稚園の運動会でかけっことみんなで一緒にする競技の両方とも一番になったそうです。
「ちー坊一番か!すごいなあ!」照れまくりのちー坊です。
「私足が遅かったから、嬉しくて嬉しくて。やまねじいに報告しようと思ったところに
電話をもらったから。」とママも満面の笑み。
お菓子の袋を大事そうに抱え、何度もバイバイをして帰っていきました。
帰ったあと、幸せの余韻の中「またピザを食べに連れてってやろうかな・・」と
つぶやくやまねじいでした。
さて9月27日(土)〜10月4日(土)まで「−彩− 岡 晋吾・さつき展」を開催しました。
今年も大きな段ボールで8箱。200種類以上の作品が届き、二日間かけての入れ替えとなりました。
全部並べきれないかもしれないと急きょストック場を作りました。
今回岡さんは緑釉とプラチナ彩・銀彩を組み合わせた作品がとても印象的でした。
ところどころに銅を使った釉裏紅がとても良いアクセントになり、
作品を引き締めていました。
一番最後に描いた赤絵深鉢は岡さん自身とても気に入っていたものでしたが、
一番最初に売れ、ほとんどのお客様の目に触れることなく嫁いでいきました。
さつきさんは今回染付・赤絵・色絵にプラチナ彩を加え、さらに華やかな器がたくさん並び、
大きな蓋物にも挑戦。存在感がありました。
ポットのふたのつまみが魚や双葉の形になっていたので、さつきさんのリクエストかと
思っていたら、岡さんがさつきさんのために作っていたそうです。
優しい旦那様ですね。
初日・二日とたくさんのお客様でにぎやかでした。店を終わってから一緒に食事をし、
お酒を呑みましたが、私たちと別れた後ホテルの近くのメキシコ料理の店に二日連続で立ち寄り、
さらに呑んだそうで、二日目にそのお店で「連続のお越しありがとうございます。」と
言われたそうです。
お酒の強さも一級です。
来年はテーマを決めて個展をしようと話しています。
さて、今月の企画展 10月25日(土)〜11月1日(土)「唐津 田中佐次郎陶展」を開催します。
佐次郎先生は9月20日から30日まで「スイス・日本通商条約150周年記念」と銘打った
個展を終えたばかりです。
震災の影響もあり、一時は開催も危ぶまれましたが、佐次郎先生の努力と多くの方々の尽力で
念願だったスイスでの個展が開催されました。
今年に入って主人は何度か先生のお宅を訪問し、その都度先生の意気込みを
強く肌で感じて帰ってきました。
遠く海を越えても佐次郎先生の作品は見る人に感動を与えたそうで、
無事成功を収めて帰っていらっしゃいました。
78歳の今でも佐次郎先生は常に前しか見ていません。
人生の大先輩がこうして近くにいるということは本当に幸せなことだと思います。
辰砂・玄黄・明鏡などの新しい作品も並びます。
最終日の11月1日に大阪にいらっしゃいます。
ぜひご覧ください。
巷談舎 山根幸子
2014年 9月 巷談舎便りvol.104
昨夜は中秋の名月。見事な満月をみることができました。
雨続きの8月。9月も雨で始まり、ようやく秋晴れの日がやってきました。
昨日久しぶりに友達と三人でランチに行ってきました。
昨年オープンしたお店ですが、なかなか行くことができず、
やっと行くことができました。
友達も私も修行時代から知っているので、店を構え店主となった彼を見て、
まるでお母さん目線です。
たっぷり会話を楽しみ、おいしい食事とお酒で心もお腹も大満足。
帰りに主人にお酒をお土産にいただきました。
友達と別れたあと、デパートに寄り、食料品を購入。
袋をいくつも抱え阪急電車に乗りました。
お酒は重いので足元に置き、残りの袋は膝の上に。
ほろ酔いでお腹もいっぱい。ついウトウト寝てしまいました。
「豊中」というアナウンスではっと目を覚まし、
慌てて降りそのまま店に帰りました。
主人にお土産をいただいたことを言い、渡そうとしたら
肝心の袋がありません。
電車の中に置き忘れたことに気がつきました。
すぐに阪急電鉄に電話をしたところ、雲雀ヶ丘花屋敷の駅で
預かってもらっていることがわかりました。
親切な方が電車の中を見回っていた乗務員の方に渡してくださったそうです。
大急ぎで雲雀ヶ丘花屋敷に行きました。
「あの、山根と申しますが、電車の中にお酒を・・」
「ああ、山根さんですね。すぐ冷蔵庫から出してきますので、
しばらくお待ちください。」
「え!わざわざ冷蔵庫に入れてくださったんですか?」
「はい、要冷蔵とシールが貼ってあり、保冷剤が入っていたので
入れておきました。」
「本当にありがとうございます!」
「いえいえ、よくあるんですよ。」
電話の応対の女性もとても親切で丁寧だったし、
雲雀ヶ丘花屋敷の係りの方は終始にこにこ笑顔でした。
なんて親切な対応。自分の迂闊さを反省しつつ、
感激してしまいました。
先日4月に買ったばかりのパソコンが壊れてしまいました。
早速修理に出しましたが、初期化しないとだめということでした。
リカバリーディスクを用意しておいてくださいと言われ、
さて一体どこにあるのかと必死で探しました。
出てきたのは以前のパソコンのものだけ。
メーカーに問い合わせるとパソコンを使って自分で作るのだと
いうことが分かりました。
パソコンがないのに一体どうやって作るの?万事休す!
修理の人に連絡を入れると、なんとか中のデータはすべて
取り出せそうなので、こちらでやってみますと言われました。
一週間後、パソコンがようやく直り、また使えるようになりました。
使えない間仕事の連絡には電話とFAXで対応しました。
作家やお客様に荷物やはがきを送るにも名簿がないので、
名刺や芳名帳を引っ張り出しました。
私も主人もいまだに携帯電話でメールと電話以外の機能は
使ったことがなく、郵便番号を調べるだけでも大変でした。
いままでの企画展のデータもすべてパソコンの中にあります。
どれだけパソコンに頼っていたのかよくわかりました。
さて、今月は9月27日(土)〜10月4日(土)まで
「−彩− 岡 晋吾・さつき展」を開催します。
昨年は200種類以上の作品が届き、店の中は華やかな
色絵・染付・安南・白瓷の器が所狭しと並びました。
岡さんの手による白瓷や染付にはなんとも言えない深い味わいがあります。
今回も薪の窯で焚いた白瓷や赤絵が並びます。
さつきさんの愛らしく華やかな色絵や染付には心が和みます。
8月末、写真撮り用にダンボールが3個も届き、岡さん夫妻の
意気込みを感じました。
すべての作品を写真に撮れないので、作品を全部並べ、
その中から岡さん15点・さつきさん19点の作品を選び、
写真に撮りました。
試行錯誤しながらのDM作りを終え、出来上がりを待つばかりです。
岡さん夫妻は今一生懸命絵付けの最中です。
このあとどんな作品が届くのか楽しみです。
ぜひご覧いただきたいと思います。
ホームページでも一部ご紹介します。こちらもぜひご覧ください。
10月の企画展 10月25日(土)〜11月1日(土)「田中佐次郎展」
こちらは次回詳しくお伝えします。
巷談舎 山根幸子