巷談舎便り
                 巷談舎便りvol.098


 寒の戻りで寒い日が続いています。先月買った桜の枝は花が散り、葉桜となって
目を楽しませてくれています。
卒業式のシーズンを迎え、店に来る途中卒業生と父兄が歩く姿を目にするようになりました。
昨日陸前高田市の高校を卒業する子供たちをテレビで見ました。
3年前の震災の時に一年生になった子供達です。
大学に行って、卒業したら陸前高田に戻り、この街を創っていきたいと語る男の子。
専門学校に進む女の子は人に甘えることなく、自分の力で頑張っていきたいと言っていました。
それぞれの道を歩み始めるすべての子供たちに幸あれと祈ります。

さて、2月22日(土)〜3月1日(土)「荒川尚也 ガラス展」を開催しました。
前日の昼過ぎ、荒川さんと二人のスタッフが搬入にやって来ました。
大きなトラックに荷物を一杯積み込んでいました。
まず、什器を降ろし、荒川さんの指示に従い、店の中のしつらえを作っていきます。
店の表には荒川さん手作りの什器の上に黒いタイルが並べられます。
店の真ん中のテーブルには白いタイルが同じように並べられました。
畳の部屋の床板は一段高くなり、奥には布を引いた上に玉砂利が敷き詰められました。
石の壁にはポールが渡され、壁掛けの大きな照明器具が掛けられました。
店の外には工具や脚立が置かれ、通る人はきっと内装工事をやっていると思ったでことでしょう。

照明器具の取り付けは男性スタッフが、作品の梱包を解き、検品は女性スタッフがおこないます。
今回の作品は400種類を超え、今までで一番の品数となりました。
400種類のプライスカードを作り、検品を手伝いながら、すべての作品が並んだ時には
夜8時を回っていました。
店の中はすっかり荒川さんの世界です。
夜になるとあちこちに置かれた照明器具の灯りが際立ちます。

真冬にガラスの展示会は初めてでしたが、初日朝早くからたくさんのお客様が
いらっしゃいました。
今回特に人気だったのはキャストと呼ばれる鋳造ガラスのお皿で、
お料理屋さんや料理好きの方たちが興味を示してくれました。
30年以上にわたり、変わらぬ宙吹きのグラスやボウル類は今もたくさんの方々の
支持を集めています。
その一方で近年鋳造ガラスに加工を施した作品、やきものをイメージした
ホウ珪酸ガラス(耐熱)の茶碗、錆びた鉄を加工してガラスと組み合わせる照明器具など
次々に生み出しています。
一週間はあっという間で、通常の店に戻っていますが、今なおガラスの余韻に浸っています。
 
今月は3月22日(土)〜29日(土)まで内田鋼一・川端文男・田中佐次郎・西端 正「極上のひととき」
を開催します。このメンバーでの企画展は初めてです。

「ひとりで美味しい酒と肴を楽しむ極上の時間」をイメージして4人の方々に酒器と器を
作っていただきました。
いつもいらっしゃるお客様にこの企画展の話をしたところ「混ぜるな危険」ですねと
言われてしまいました。
どんな作品と出会えるのか、私たちもとても楽しみです。
HPでも一部ご紹介しますので、こちらもご覧ください。
                              
4月の企画展
4月12日(土)〜19日(土) My Favorite Things−私のお気に入り−を開催します。
出品作家は小坂 明さん・寺内信二さん・十時啓悦さん・藤井憲之さんの4名です。
こちらは次回詳しくお知らせします。

巷談舎 山根幸子




Vol.098
2014年3月

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