巷談舎便りvol.088
ゴールデンウィークも終わり、いつもの暮らしが戻って来ました。
先月自宅を引っ越しました。荒川さんの個展の二日前でした。
いらないものは思いきって捨てましたが、毎日仕事から帰り、
家事を終えてからの荷づくりはなかなか思うようにはかどりませんでした。
引っ越し屋さんが持ってきたダンボールではとても足りず、
おびただしい数の器はダンボールに詰めても詰めてもいっこうに減りません。
結局引っ越し前の3日間はアイドル並みに(?)睡眠時間が
3・4時間くらいしか取れませんでした。
引っ越しした日の夜、主人が「そういえば君の自転車がなかったような気がする。」
「そんなはずないよ。自転車の鍵もちゃんと持ってるし。」
前のマンションは月末まで借りていて、自転車置き場に置いてあるはずです。
「明日行って、確かめてくるわ。」翌日マンションに行ってみると・・・ありません。
近くを探しても私の自転車がありません。でも鍵は持ってるし・・・。
一番最後に乗ったのは引っ越し当日。新しいご近所に挨拶周りをするための
お菓子と引っ越し屋さんのお兄さんたちに飲みものを買いにいったのが最後です。
まさかまさかと思いながら駅前のショッピングセンターに行ってみると・・・
ありました!自転車で行って、歩いて帰っていたのです。
とても急いでいたはずなのに、歩いて帰ったことをまったく覚えていませんでした。
新しい住まいの周りは緑が多く、散歩をなさっているお年寄りが多いです。
今朝も見知らぬおじいさんから声を
かけられました。「今日はいい天気ですね。」「そうですね。気持ちいいですね。」
こんな日は一日楽しく過ごせそうです。
さて4月20日(土)〜27日(土) 荒川尚也「ガラスが語りかけるもの」を開催しました。
前日の搬入は荒川さんとふたりのスタッフがやって来ました。
今回も荒川さんお手製の什器が運び込まれ、店のテーブルの上には
真っ白なタイルが敷き詰められました。きっと外から見た人は内装屋さんが
工事をしていると思ったはずです。
ランプシェードを飾るための設営など店の中が少しずつ荒川さんの世界に変わっていきます。
長年に亘り宙吹きのグラスやボウルなど日常の器を手がけてきた荒川さんですが、
近年意欲的な作品を次々と生み出しています。
今回ジュラシックシリーズと題した鋳造ガラスは黒と透きのガラスが群を成し、
山脈のようだったり、水を湛えているようだったりと圧巻でした。
ガラスで作った石器は石にしか見えず、黒の茶碗の高台部分には
ガラスが釉薬のように流れ、土にしか見えなかったりと遊び心が満載。
ランプシェードや照明器具の灯りが光と影を造り出し、本当に
見ごたえのある個展となりました。
次はどんなことになるのかと今から楽しみです。
今月5月18日(土)から25日(土)まで「唐津・田中佐次郎展」を開催します。
佐次郎先生と出会って7年になりますが、この4年というもの、
先生の仕事をたくさん見せていただきました。
70半ばを過ぎた方とは到底思えないくらいのスケジュールを
日々こなしていらっしゃいます。
普段は穏やかで冗談や楽しい話をいっぱいしてくださる仏様のような方ですが、
仕事に関してはとても厳しい方です。
多くの困難や修羅場をくぐりぬけてこられた一方で、
とても無邪気な面を見せてくださいます。
知れば知るほど、引き出しの多さに感心します。
これが先生の作品の魅力につながっているように思えます。
今回は酒器を中心に茶碗・向付など約70点の作品が並びます。
ひとつひとつの作品がまさに一期一会のように思えます。
18日・19日と先生もいらっしゃいますので、ぜひ御覧ください。
HPでも一部の作品をアップしますので、ぜひご覧ください。
6月の企画展
6月8日(土)から15日(土)金重潤平・細川護光「若き旗手たち」を開催します。
こちらは次回詳しくお伝えします。
巷談舎 山根幸子
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