巷談舎便り

巷談舎便りvol.087



 春の嵐でわずかに残っていた桜の花もほとんど散ってしまいました。
これからは葉桜のみどりが楽しめます。
昨日近くの小学校で入学式がありました。
体育館からこどもたちの元気なあいさつの声が響き、次に新入生に贈る
楽器の演奏も聞こえてきました。こちらまで元気になってきます。

先月3月23日(土)〜30日(土)「中川自然坊が遺したもの」を開催しました。
DMを送ってから、次々と電話やメールでの問い合わせがあり、私たちの予想を
はるかに超える反響の大きさにびっくりしました。

今回130種類を超える作品が並びました。
主人は唐津に行くたびに少しずつ選んでいた品です。
亡くなって一年4カ月。生前、人の3倍仕事をしていた自然坊さんならではの数の多さです。

初日・二日目と朝早くからたくさんのお客様がいらっしゃいました。
「こんなに人が多い巷談舎は初めて見た!」というYさん。
「すいませんねえ。いつもは暇な店ですから。」と私。

遠い所からわざわざいらっしゃった方、若い料理人の方も多く、自然坊さんのすごさを
あらためて感じました。

弟子の梅田健太郎君・菊池 克君・藤村拓太君がそれぞれ来てくれました。
先生と自分たちの作品が一緒に並ぶのは初めてで、「いやぁ、緊張しますよ・・」と
口々に言っていました。三人とも一生懸命写真を撮っていました。

年間30回以上窯焚きをしていた自然坊さん、素焼きも薪窯ですので、弟子たちは
修業時代の3年間で他にの作家のもとでは考えられないくらいの
窯焚きを経験したことになります。

試行錯誤の末、「自然坊唐津」というものを作りあげた自然坊さん。
彼の遺したものが弟子たちに受け継がれていくことを願います。
展示会を終えた翌日、主人は唐津に行き、自然坊さんの墓前に無事終わったことを
報告してきました。


 今月は、4月20日(土)〜27日(土)  荒川尚也 「ガラスが語りかけるもの」を開催します。

今回で3回目となる荒川さんの個展です。
企画展のほとんどは作品を送ってもらい、こちらで知人のカメラマンさんに頼んで写真を
用意しますが、荒川さんの場合は荒川さんにお願いしています。
写真を撮影するのは荒川さんの息子さんです。
こどもの頃からおとうさんの作品を見て育っているからでしょうか、ガラスの質感や
荒川さんの意図することがうまく表現されているように思います。

今回はJurassic seriesというキャスト(鋳造ガラス)の写真です。
DMの荒川さんの言葉です。
「幾何学的(Geometric)なデザインのキャストのプレートだが、鋳込み型に
セラミックファイバーを使って、地形を思い出させる地理学的(Geographic) な印象をねらった。
クリアーのガラスは空から見た山脈、
スモークのガラスは海底を覗いている様。
しかし、それらが群れで置いてあると何故かJurassic(ジュラ紀)な感じに見えてくる。
今回は盛器としての提案です。」

長年に亘り宙吹きのグラスやボウルなど日常の器をたくさん作ってきた荒川さんですが、
近年意欲的な作品を次々と手がけています。
毎回テーマによって店の空間が大きく変わります。
いつも什器まで自分で作って来てくれるのには本当に感心します。
日常の器はもちろん、個展ならではの作品が並びます。

初日4月20日(土)には荒川さんがいらっしゃいますので、ぜひご覧ください。
HPでも一部ご紹介します。

 5月の企画展
2013年5月18日(土)〜25日(土)「唐津 山瀬 田中佐次郎 酒のうつわ」を開催します。
こちらは次回詳しくお知らせいたします。


                                   巷談舎 山根幸子     

 

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Vol.087
2013年4月

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