巷談舎便り

                巷談舎便りvol.086


 三月初めの寒さが嘘のように春が駆け足でやって来ました。
暖かい日差しがなにより嬉しいです。

 先月主人とふたりで久々に東京に行きました。
お茶の水から神田の古本屋さんに行き、あちこち覗いてまわりました。
美術書専門の店でなかなか見ることのできない本や図録をたくさん買い、
持てないので送ってもらうことにしました。

翌日、大阪に単身赴任の時に仲良くさせてもらっていたNさんが
「駒形どぜう」さんに連れて行ってくれました。

江戸情緒たっぷりの店構え、のれんをくぐり、戸を開けると広い座敷がありました。
下足札は2番。どじょう鍋・柳川・骨せんべいをいただきました。
ふつふつと煮立った鍋にたっぷりのごぼうとネギを
載せ、粉山椒や七味を振って食べます。
実は私どじょうを食べたことがなく、これがどじょうデビュー。
臭みも全くなく、さっぱりしていて予想以上の美味しさでした。
ここはやっぱり日本酒でしょうと贅沢にも朝から升酒。
至福のひとときでした。

完成したスカイツリーを仰ぎ見ながら浅草を歩き、
浅草寺にお参りし、おなかもこなれた?ところで
老舗の洋食屋さんに入りました。
食べられるかなあと思いつつ、メニューを見ると食べたいものがずらり。
オムライス・ビーフシチュー・蟹サラダなどワインを飲みながらいただきました。
しっかり食べて飲んで、いっぱいしゃべって楽しい一日を過ごすことができました。

普段仕事以外で遠出をすることがほとんどなく、気分もリフレッシュ。
こういう休みもいいなあと帰りの飛行機で主人と話しました。
貴重な休日を一日付き合ってくださったNさん。
本当にありがとうございました。

 2月23日(土)〜3月2日(土)「蕎麦を楽しむ!寺内信二・十時啓悦・藤井憲之」
を開催しました。

有田の寺内さんはなんと約130種類の染付・赤絵の蕎麦猪口を
送ってきてくれました。(これは圧巻でした。)
東京の十時さんは根来の盆・湯桶・せいろ盛器・蕎麦猪口が、
瀬戸の藤井さんは白磁・青瓷の蕎麦猪口や小鉢、皿などの食器が
それぞれ並びました。
高知の小坂さんもゲスト出演で蕎麦猪口を出品してくれました。

藤井さん・寺内さんは共に武蔵野美術大学時代の小坂さんの教え子で
先輩後輩の間柄、十時さんは漆芸の先生で小坂さんの友人。
久しぶりの再会に積もる話に花が咲きました。

染付・赤絵・根来の朱・白磁・青磁と色目も楽しめ、
とても華やかな三人展となり、また次回テ−マを変えて
やろうということになりました。

今月は3月23日(土)〜30日(土)「中川自然坊が遺したもの」を開催します。

私たちの友人でもあった自然坊さんが亡くなって一年が過ぎました。
昨夏、主人は自然坊さんの墓前で「君の追悼と弟子たちの紹介をするよ。」と
約束したそうです。

一番弟子の梅田健太郎さんは熊本で、二番弟子の今野安健さんは山形で、
三番弟子の瀬戸口 真さんは佐賀県で、四番弟子の菊池 克さんは大分県で、
五番弟子の藤村拓太さんは兵庫県で、最後の弟子神尾順二さんは佐賀県でと
それぞれの地で頑張っています。

やきものに対するひたむきさ、思ったことはそのまま口に出すストレートさ、
本当に愛すべき人でした。
病を得てからの自然坊さんの仕事ぶりは命を削りながらの壮絶なものでした。

自然坊さんの遺していったものがひとりひとりの心のなかで
花開いていくことを願います。

自然坊さんの作品とともに六人の弟子たちの作品を展示します。
ぜひご覧ください。
HPでも一部アップしますので、こちらもご覧ください。


4月の企画展
4月20日(土)〜27日(土) 荒川尚也「ガラスが語りかけるもの」を開催します。
こちらは次回詳しくお伝えします。

                            巷談舎 山根幸子

                              









                               巷談舎 山根幸子



 

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Vol.086
2013年3月

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