巷談舎便り

                巷談舎便りvol.081


 朝晩肌寒くなり、あたたかいお風呂が心地よくなってきました。

先日京都・京丹後市の料理屋縄屋さんから野菜の炊き合わせが届きました。
時々こうして魚の一夜干しや畑で作った野菜を送ってくれます。

荷物の中に「稚鮎の煮干し」と書かれた袋が入っていました。
稚鮎の一夜干しやてんぷらは食べたことがありますが、煮干しは初めて見ました。
普段味噌汁は煮干しで出汁を取るのですが、この稚鮎の煮干し
どうやって食べるのか、かぼちゃを炊くときにでも入れて一緒に食べてみようかな
と思いながら縄屋の吉岡さんにお礼のメールを入れました。
数分後、吉岡さんから電話がありました。
「あのー、稚鮎はトースターで焼いてぽりぽり食べてください。」
私のメールを見て、あわてて電話をくれたようです。
電話のやり取りを聞いていた主人が「おまえ馬鹿じゃないの?
こんな貴重なものを出汁代わりに使おうなんて。」
「ぜいたくだとは思ったけど、「煮干し」って書いてあるし・・・」

その日の夜、教えてもらったように、稚鮎の煮干しをぽりぽりおいしくいただきました。
野菜の炊き合わせは茄子・冬瓜・かぼちゃなどひとつひとつ味付けが違い、
素材そのものの味を楽しませてもらいました。
シンプルで優しい味に癒されました。
こうして「稚鮎の煮干し」間一髪煮物になるところを救われました。

9月15日(土)〜22日(土)「岡 晋吾・さつき展 −彩−」を開催しました。
「がんばってるからね」の言葉どおり、今年は200種類を超える作品が届きました。
大きな段ボールで8箱。荷ほどきをしている主人は新聞紙の山の中に埋もれていました。
今回も前日早めに岡さん夫妻が到着し、プライスカードを並べる手伝いをしてもらい、
とても助かりました。

展示を終え、岡さん夫妻の器をたくさん使ってくれている「旬・彩・天 つちや」さんに
行きました。
昨年「自分が作った作品をお客様が喜んで買って帰られる姿を見て、
「これが作り手の醍醐味だと感じた。」と言ってくれたさつきさん。
実際に料理が盛られた器を次々に発見。
隣の席の方に「すいません。写真を撮らせてもらっていいですか?」とおちゃめなひとこまも。
楽しい食事会になりました。

初日はたくさんのお客様がいらっしゃいました。
「昨年、出遅れたので、今日は初日に来ました。」という方も複数いらっしゃり、
とてもにぎやかな一日となりました。

岡さんの筆使いの素晴らしさ、緑釉・銀彩・プラチナ彩を組み合わせた器や形は
岡さんにしか作れないものです。
シンプルでどんな料理にも映える器や使い手に挑むような器。
まさに器のプロだと感じました。
さつきさんは年々腕を上げ、さつきさんのカラーを前面に出した絵付けが増えました。
染付け・赤絵・色絵など愛らしく華やかな器は見ているだけでも楽しくなります。
来年はどんな作品に出会えるのか、期待が膨らみます。

さて今月は10月6日(土)〜13日(土)まで内田鋼一展を開催します。
巷談舎での内田さんの個展は2年に一度なのですが、25周年の今年、
最後の個展はやはり内田さんに締めくくってもらおうと思いお願いしました。
数えてみれば今回で11回目の個展となります。
いつのまにかお互いに歳を重ねてきました。
いくつも個展を抱え、本当に忙しい内田さんですが、決して期待を裏切ることのない人です。
どんな作品が並ぶのか、明日が楽しみです。
初日6日は内田さんもいらっしゃいます。ぜひご覧ください。

HPでのアップは多少遅くなると思いますが、なにとぞご了承ください。

    
                               巷談舎 山根幸子



 

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Vol.081
2012年10月

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