巷談舎便りvol.074

 

 冬の長いトンネルを抜け、待ち遠しかった春がやってきました。

先日店にいらっしゃった福井からのお客様が花入れに活けた菜の花を見て
喜んでくださいました。

実はこの菜の花、主人が九州で買ってきてくれた花です。
219日から21日までふたりで唐津に行くことになっていました。
四十九日を終えた自然坊さんのお参りに行くことと、唐津の作家たちとの新年会が
目的でした。

ところがめったに風邪をひいたことのない私が風邪をひいてしまい、
主人がひとりで出かけることになりました。

19日の午前3時頃車で出た主人から9時過ぎに電話がかかってきました。
「今山口なんだけど、この先の道路状況調べてくれる?」
パソコンを開くと九州の高速は雪のためすべて通行止め。
電話で伝えると「わかった。下道
でゆっくり行くよ。」
途中何度か連絡があり、自然坊さんのところへ着いたのは出発してから
12時間後でした。
水野旅館さんでの新年会の後そのまま泊めていただき、ゆっくり休ませてもらったそうです。

あこがれの水野旅館さんに主人が泊まったことや後日新年会に参加した菊池克君から
送られてきた料理の写真を見て、行けなかった私はちょっぴり悔しかったです。


2月24日(土)から3月3日(土)まで「備前の景色」を開催しました。
今回出品してもらった作品と手持ちの作品を合わせ、約140点の備前の茶碗・花器・
酒器・食器がずらりと並びました。
出品作家は川端文男さん・黒田儀男さん・豊福 博さん・脇本博之さんの4人。

川端さんの自然練込の肌の美しさ、レインボーのような不思議な窯変の色合い、
造形の確かさ。

黒田さんの焼きに焼いた力強い窯変花入。
若く伸び盛りの豊福さんの自然練込の花器や香炉は師匠の川端さんとは一味違う
豊福さんならではの仕上がりになっていました。

脇本さんのたっぷりと灰を被ったおおらかな花入や美しい緋襷。

黒・赤・白・グレー・茶と備前にもさまざまな色があります。
すべて無釉の焼〆陶ですが、土の種類や焼き方、窯の中のどこに置くかで
まったく違ったものになります。
使い込めば本当に肌に艶が増し、柔らかな風合いになります。
家で10年以上使っている川端さんの自然練込の小鉢はつるつるになっており、
新しい品と比べてみるとはっきりとわかり、みなさんびっくりなさっていました。

備前の土が持つ力をあらためて感じ、もっともっと備前の魅力をたくさんの人に
伝えたいと思った一週間でした。

さて今月は310日(土)から17日(土)まで「My Favorite Things私のお気に入り
小坂 明・十時啓悦・藤井憲之さんの3人展を324日(土)から31日(土)まで
「草場勇次・奈美子 練り上げ世界」をそれぞれ開催します。

今回2回目となる「My Favorite Things私のお気に入り
小坂さんは焼〆拭漆の器を中心にあたたかな風合いの白磁も登場。
漆芸家の十時さんは根来の皿や金・銀箔の酒次が並びます。
シンプルな青白磁・白磁がイメージの藤井さんは昨年から手がけ始めた青瓷の器が
並びます。
日々の暮らしに使いやすい器の数々が登場します。
11日(日)には藤井さんが瀬戸から来てくれることになっています。
お気に入りの品を見つけに来ていただきたいと思います。

24日からの草場さん夫妻の二人展は二年ぶりとなります。
土に彩色し縦横に組み合わせ模様を作っていきますが、まるで魔法のように
美しい絵柄となります。
季節の花をモチーフにした作品や焼〆の作品に更に磨きがかかり、
見ごたえのある作品展となります。
今回は小さな重箱も登場します。
草場さん夫妻は初日・二日と来てくれることになっています。ぜひご覧ください。

4月の企画展 

47日〜14日 古賀雄二郎・吉井史郎 二人展

421日〜28日 「ガラスが語りかけるもの」荒川尚也・小池志麻・渡邊 明

               

                                         巷談舎  山根幸子

 

巷談舎便り
Vol.074
2012年3月

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