巷談舎便りvol.068
夏休みも終り、台風とともに9月が始まりました。
昨日からの「谷野明夫・田中淳貴 二人展 −刻−」も台風の影響で店を開けられるのか
とても心配でしたがなんとか無事に初日を迎えられ、ほっとしています。
今年の夏休みは一週間ゆっくり過ごすはずでしたが、主人は仕事が気になり、
ほとんど毎日店に行っては雑用をしていました。ほんとに貧乏性です。
それでも私はお盆の3日間は実家に帰りました。
お盆の風習は各地さまざまですが、私の実家では13日の夕方にお迎え団子を作り、
迎え火を焚きます。毎朝お膳を作り、お供えします。
お膳は二組あり、それぞれにご飯・汁物・和え物・煮物・香の物を並べます。
こどもの頃はこのお膳がかわいくて、おいしそうでうらやましかったものです。
15日の夕方にはまた送り団子を作り、送り火を焚き、お供えものをい草で編んだ船に
入れて各地区の決められた場所に持って行きます。
何度焚いても送り火の火を見ているとせつない気持ちになります。
祖父母や父が帰っていくこと、お盆が終わってしまうことがやはり寂しいです。
さて8月は8月20日(土)から25日(木)まで豊川忠宏「青のイス展」を開催しました。
給食のバケツを使ったバケツイス、ドラム缶を使ったイスやベンチ。
大鍋を使ったテーブル。
キュウリをかたどったベンチ、ナスのイス、スイカのテーブル(お盆3部作?)
仕事場にころがっている廃材に釘を打っただけでサカナに見えてくるし、
ゴムのひれを付けたら鯨の尻尾になったりと本当に楽しく面白い作品が
ところ狭しと並びました。
豊川さんの人柄を愛する方々が連日たくさんいらっしゃり、とてもにぎやかな
一週間となりました。
お客様が思い思いにイスに座り、楽しそうにおしゃべりしている光景は
まるでどこかのおうちの居間のようで、その光景がとても嬉しかったです。
あんまり楽しかったので、2年に一回しようということになりました。
2年後、我が家の居間にどうぞお越しください。
(先日豊川さんに以前からお願いしていたテーブルが出来上がってきました。
枕木のテーブルもとても気に入っていたのですが、動かせないという難点が
ありました。新しいテーブルもぜひご覧下さい。)
9月3日(土)から10日(土)「谷野明夫・田中淳貴 二人展 −刻−」を
開催しています。
谷野さんは信楽で長く作陶を続けている方で、私たちが店を始めた時から
お付き合いをしている作家のひとりです。
田中さんは谷野さんの紹介で知り合った若い作家で2006年に豊中に工房を構えました。
谷野さんはこのところ黒を基調にした作品が多かったのですが、
久しぶりに色を使ったそうで、楽しんで作られているのが見ていてよくわかります。
田中さんはいっちんという技法を使った文様で描いた器や陶硯、筆架、筆洗などを
たくさん作りました。青銅器を思わせる作品です。
谷野さんの色々な色を使った合子や水滴はとても愛らしく、
6.5センチ角の小さな陶板を貼った陶額はコンパクトで軽くてどこにでも掛けられます。
田中さんの書の道具を見ていると書の楽しみはこういうところにもあるというのが
よくわかります。
ぐい呑みもそうですが、掌にすっぽりと収まる小さな作品は眺めていても
触れても楽しめ、慈しむという言葉がぴったりときます。
近日中にHPでもアップする予定です。
ぜひご覧ください。
10月の企画展 10月29日(土)〜11月5日(土) 岡 晋吾・さつき展を開催します。
こちらは次回詳しくお伝えします。
巷談舎 山根幸子
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