巷談舎便りvol.065

 例年より早い梅雨入りとなりました。冬物の片づけが終わらないままなので
次の晴れの日がとても待ち遠しいです。


数年前から店の庭にどくだみが生えるようになりました。
摘むとどくだみ特有の香りが強烈ですが、白い花は
愛らしく可愛いです。
これだけたくさん生えているのだから摘んでどくだみ茶でも作ろうかなと思いつつ、

毎年何もしないでいます。

こどもの頃母方の祖父の家ではいつもクコ茶を飲んでいました。
匂いも味もこども向けとは言えず、おじいちゃんたちはなんでこんなに
おいしくない物を飲むのだろうと不満でした。

祖父の耳たぶには2センチくらいのこぶがあり、見るたびにこぶとり爺さんの話を
思いだし、こぶを取ってあげると言っては引っ張ったり捻ったりしていました。
今から思うとかなり乱暴なことをしていたのに、いつも笑って私の気の済むように
していてくれた優しい祖父でした。
トランプがうまく一人占いをいろいろ教えてくれたのも祖父でした。
おかげで小学生の時シャッフルが得意でした。
祖父が一番上手だったのはバッテラを作ることでした。
嫁いだ娘(母)や私たちに食べさせるためによく届けてくれました。
今でも鯖が好きなのはこどもの頃よく食べたバッテラが影響しているのかもしれません。

514日から21日まで「唐津 田中佐次郎展」を開催しました。
今年は酒器を中心に向付などの器も作っていただきました。
山瀬の土で作られた編笠向付は凛として高台の緋色が素晴らしいものでした。

昨年以上の点数のぐい呑はひとつとして同じものはなく、青霄盃や碧翠盃の妖しさ・
美しさ、伊羅保盃ややつれ盃の枯れた味わい、徳利の力強さなど佐次郎先生の生き方
そのままに魅力的でした。

初日・二日目と佐次郎先生は楽しいお話をいろいろ披露してくださり、
いつものように歌も飛び出し、たくさんのお客様を楽しませてくださいました。

来年は海外でお茶会をなさるとのこと、年を重ねてなお新しいことにチャレンジ
し続ける佐次郎先生。
今年もそばで拝見し、とても勉強になりました。

 さて今月は64日(土)〜11日(土)「若き旗手たち 金重潤平・細川護光」を
開催します。
 
昨年丹波の西端大備さんを含めた三人展でスタートした企画展でしたが、
今年は大備さんの名前がありません。
以前にもお話したように昨年
10月に大備さんが亡くなられました。
34歳でした。本当にこれからの活躍を楽しみにしていた矢先の突然の死でした。
大備さん自身この三人展をとても楽しみにしてくれていたそうで、

先日できあがったDMを西端さんのところへお持ちしました。

今回から備前の金重潤平さん・熊本の細川護光さんの二人展です。 

風格を感じさせる形、艶やかな緋襷や力強い窯変、しっとりとした肌合いの
金重さんの備前は使い込んでいくうちにどれほど変わっていくのだろうと
楽しみになります。まさに備前の王道を行くようです。


細川さんは信楽や伊賀の焼〆の他に今回最も期待するのは唐津です。
昨年は良いものが取れず見ていただけませんでしたが、
今窯の中で出番を待っているところです。
良いものが取れたら並びますのでご期待ください。

4日・5日は二人揃って店で皆さまをお待ちしております。ぜひご覧ください。
HPでも一部アップしますのでこちらもご覧ください。                   

 7月の企画展 72日(土)〜9日(土)「唐津からの風」

       出品作家 内村慎太郎・梶原靖元・竹花正弘・矢野直人

こちらは次回詳しくお伝えします。

      

                            巷談舎 山根幸子

巷談舎便り
Vol.065
2011年6月

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