巷談舎便りvol.063

 近くの公園の桜が咲き始め、初めて同じ公園の雪柳が咲いていることに気がつきました。
毎日同じ道を通って店に通っているのに桜が咲くまで何も見ていなかったことに
驚きました。
春は間違いなくやってきた。そのことに少しだけ心が軽くなりました。

311日の東日本を襲った大震災と津波、福島第一原発の事故から3週間が過ぎました。
最初の数日間はテレビの前から動くことができず、繰り返し流れる映像に言葉も
ありませんでした。

16年まえの阪神淡路大震災で私たちの店も被害を受けましたが、今回の大震災に
比べると私たちの
ダメージなど本当にとるに足らないものだと思います。
普通の生活ができることのありがたさを感じます。

私たちにできることをまずは身近なところから、そして継続してやっていこうと
思っています。

3月は19日(土)〜26日(土)「内田鋼一展」を開催しました。
こんな時期に個展をやってよいものかと
迷いましたが、あえてやろうと決めました。

今回は店の表側と奥の畳の部屋がまったく違う空間になりました。
表側はプラチナ彩の茶注、ぐい呑・徳利などの酒器が並び、奥の部屋には
茶碗・水指・風炉・茶入などが並び
、茶室のようになりました。
遠くから来られた方も多く、何度も「来て良かった!」と喜んでくださったのが
とても嬉しかったです。
内田さんと出会ってから
18年になりますが、変わらぬ誠実さとぶれることのない
もの作りへの姿勢には本当に感心させられます。

2年後にまたどんな趣向で私たちを楽しませてくれるのか楽しみです。
 

4月の企画展 「高谷信雄(金工)・渡邊 明(切子) 今宵ふたりで」は現在開催中です。

金工作家の高谷さんと切子の渡邊さんに日本酒やウィスキーを楽しむ酒器をお願いしました。銀もガラスもお酒の味がストレートに伝わり、陶器や磁器とはまた違った味わいで
お酒やウィスキーが
楽しめます。

高谷さんの純銀の酒盃は板を絞り、叩いて形を作ります。この機会に高谷さんの仕事を
いろいろ見て
いただきたいので、銀の皿やスプーン・フォークなども一緒に
持ってきていただきました。

高谷さんの仕事はこちらをご覧ください。
http://www.koudansha.jp/osusume/1009/index.html

渡邊さんは今回ウィスキーを入れるということで透明のガラスをカットした作品が
ほとんどです。
どれも普段の酒杯よりかなり小さく、琥珀色のウィスキーを
入れると本当にきれいです。

9()まで展示していますので、ぜひご覧ください。http://www.koudansha.jp/kikaku/1104-1/index.htm

さて423()30()「 荒川尚也 ガラスが語りかけるもの」を開催します。
日常使いのグラスや器はもちろん、素敵なランプや香炉、荒川尚也さんが
今表現したい作品など並びます。
今日DMができあがってきました。
挨拶文は荒川さんに書いてもらいました。今回の
DMの写真は茶碗で挨拶文は
茶碗に対する思いでしたが、印刷に回す直前に荒川さんから電話があり、
もうひとつ考えたので
どちらにしようかという相談でした。
今の荒川さんの思いを伝えようということでこちらに決めました。

ガラスの中に、自然の美を求めてきた。 自然が破壊と再生を繰り返すのならば、ガラスも壊れれば再生するしかない。
求める人がいる限りは
 
この困難なとき、少しでも心和む会にしたいと思っています。

初日は荒川さんもいらっしゃいます。ぜひご覧ください。

 

5月の企画展 514()21日(水)田中佐次郎 酒の器 
こちらは次回詳しくお伝えします。                   



                             
 巷談舎  山根幸子

巷談舎便り
Vol.063
2011年4月

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