巷談舎便り
Vol.015
2007年 3月

巷談舎便りvol.015

 

 やっと、やっと終わりました!今日無事に確定申告が終わりました!
気が付いたら
2月が終わっていました。こんなに忙しい2月は初めてでした。
3年前から自分で複式簿記をはじめ、いつもは早くから準備をしているので結構楽しんで
やっているのですが、今回は事情が違っていました。

2
月の半分を九州で過ごした後備前の景色に突入してしまい、毎晩数字との格闘の日々
でした。学生の頃、試験の前夜にちょっとだけ寝るつもりが朝になってしまったことが
よくありましたが、まさにそういう感じでした。
「会計ソフトになさったら、記帳にかかる時間が他のことに有効に使えますよ。」
記帳指導をしてくださった商工会の方の言葉が素直に身に沁みました。

 ぐい呑100撰が終わって2日後、九州に出発しました。
29日から15日まで武雄温泉の東洋館さんで佐賀県の作家、武雄の井上浩一さん・
有田の草場勇次さん・唐津の中川自然坊さんの三人展を開催するためです。

まず唐津に行き、自然坊さんの所で搬入・搬出の打ち合わせ。
夕方 自然坊さんが食事の前に玄海町に新しくできた温泉に連れて行ってくれました。
お風呂は海に面していて、真珠の養殖の筏がいくつも浮かんでいました。
露天風呂から夕日が沈むところを見ることができ、なんだか厳粛な気持ちになりました。

 次の日は岡晋吾さんの工房で仕入れと5月の企画展の打ち合わせを終え、友人のGさん
の案内で山瀬の狐狸庵というお蕎麦屋さんに行きました。
おいしいお蕎麦を食べた後、
Gさんが同じ山瀬にある田中佐次郎さんのお宅に連れて
行ってくれました。

実は
Gさんは曹洞宗のお寺の住職さんで若い頃から佐次郎先生とはお付き合いがあり、
是非私たちを連れて行きたいと思っていてくれたようです。

初めてお会いした佐次郎先生は七十歳を過ぎたとは思えないくらいつやつやとした
柔和なお顔で、とても澄んだ目をされていたのが驚きでした。
土に対する思いや自然界の話、私たちの知らない若い頃の
Gさんの話などいろんな
お話をしていただきました。
あっという間に時間は過ぎ、最後に
Gさんの師に当たる方が生前よく歌われていた
という歌を佐次郎先生が歌ってくださいました。
朗々としたお声で涙が出そうになりました。
生きた人間に対してありがたいと思わず手を合わせたくなるような気持ちになったのは
初めてかもしれません。

 夜は前原市の上原治夫さんと唐津で待ち合わせ、食事をしながら5月の企画展の
お願いをし、岡晋吾さんとの食器を中心にした二人展が決まりました。

唐津で
2泊し、翌日は自然坊さんの作品を車に積んで、いよいよ武雄温泉に出発です。

武雄温泉の東洋館さんはいつも主人がお世話になっている旅館です。
女将さん・若女将さんが絵や焼き物などの美術工芸品が大好きで、以前から一度
やりましょうとの約束が実現しました。

実は草場さん、自然坊さんの作品は佐賀県内ではほとんど見ることができないのです。
今回初めて直に手に取ることができるというのでたくさんの陶芸家の方々が
いらっしゃいました。

仕事で行ったのですが、ここでの楽しみは温泉です。
源泉掛け流しで熱も加えていない
お湯は本当に気持ち良く、お肌もつるつるで芯から温まります。
地元の人たちも仕事を終えてお湯につかりに来るため、夕方から夜にかけていろいろな
方がいらっしゃいます。
お風呂上りは女将さんたちや常連さんとの語らいの場というか、ちょっとした社交場と
なりここで聞く話はとてもおもしろかったです。

私は残念ながら
4泊しただけで、ぐい呑展の片付けや備前展のDM発送などのため
いったん大阪に戻りました。
その間主人は「奥さんがいらっしゃらないと寂しいでしょう・・・」と女将さんから
仲居さんにいたるまで皆さんからとても気を遣っていただいて、至れり尽くせりの
日々だったようです。

主人は15日に搬出を終え、翌朝唐津経由で久留米に行きました。
久留米市で開かれるチャリティーの絵画・陶器展のお手伝いです。
久留米市には盲導犬がいないそうで、盲導犬育成支援の資金作りのための
チャリティーでした。

もともとは自然坊さんが久留米に行くことになっていましたが、急に都合が
悪くなりピンチヒッターとしてお手伝いということになったのです。

16日の夜、私も久留米に到着し、前述のGさんも助っ人として来てくれ
17・18日の二日間チャリティー会場で自然坊さんの作品を売りました。
久留米の方たちはみなさん絵や工芸品に対してはかなりお好きな方が多く、
主催者であるライオンズクラブの方々の努力も熱意もかなりのものがあり、
目標額は達成できたそうです。

こうして私たちは初めての2週間にわたる九州の旅を終えました。
なぜか夫婦喧嘩もしませんでした。
唐津・武雄・久留米のどこでも本当にみなさんによくしていただき、きっとあたたかい
人柄に触れつづけたせいかもしれません。仕事とはいえ十二分に楽しい2週間でした。

今回はながながとお付き合いいただきありがとうございました。
本当は九州で出会った方々の面白い話やその後の「備前の景色」についても書きたいの
ですが、またそれについては日を改めて書く事にします。
(いつになるかわかりませんが・・・)

 さて、三月は企画展をお休みします。4月は毎年恒例のガラスのグループ展を
企画しております。また次回詳しくお知らせします。

 

                     巷談舎  山根幸子

                  


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