巷談舎便り
Vol.005 2006年 5月

 若葉が美しい季節となりました。今年のゴールデンウィークは久々に休み、主人と二人で母に

会いに島根へ行ってきました。青々とした緑のなかで胸いっぱいに深呼吸すると、元気になっ

た気がします。海や山をぼーっと眺め、ゆっくりと時間が流れます。

一人暮らしの母は帰るときにとても悲しそうな顔をします。今回は姉夫婦がまだいたのでその顔

を見ないですみましたが、姉夫婦はきっと後ろ髪を引かれる思いで帰ると思うと申し訳ない気が

します。

 4月はふたつの企画展で慌しく過ぎました。高山さん・吉井さんの二人展では磁器と土ものと

いう対照的な作品が並び、それぞれの良さをあらためて感じられました。吉井さんはぎりぎりま

で窯を焚き、疲れから熱を出してしまい、代わりに律儀な高山さんがほぼ毎日来てくださり、吉

井さんの作品の解説もしてくれたので本当に助かりました。

 小坂さんと十時さんの二人展も小坂さんは高知から、十時さんは東京からわざわざ来てくださ

いました。このお二人、学生時代からの友達でもあり、武蔵野美大の同僚でもありました。うち

でお二人が揃うのは初めてで、話し始めると「いとし・こいし」(古い!)を彷彿とさせるしゃ

べくり漫才。とっても楽しませてもらいました。

陶芸家の小坂さんの焼〆拭漆は、焼〆た陶器に生漆を塗り焼付けたものでまるで漆器のようです。

十時さんの錆肌・石肌シリーズは本来下地に使う錆漆を外側に使い、ざらざらした感触はまるで

土もののようです。このシリーズが今後どのように変わっていくのかが楽しみです。

 さて、今月は513日から20日まで、「岡 晋吾・藤井憲之二人展」を企画しています。

岡さんは有田から唐津に移って3年目。磁器から土ものまで実に多種多様な器を作ります。古いも

のが大好きで、土に対するこだわりも強く、李朝風の白瓷・初期伊万里・安南など
とても味のある

作品ばかりです。今回は食器のほかに醤油差や酒器も並びます。

藤井さんは武蔵野美大(小坂さんの教え子です。)を卒業後、瀬戸で長年にわたって磁器の食器を

作り続けています。磁器は土ものと違い釉薬との組み合わせは多様ではありません。だからこそ 

形が命。藤井さん独特のシャープな線や形にはたまらない魅力があります。

お二人とも食器のスペシャリスト。是非ご覧ください。

岡 晋吾・藤井憲之二人展の内容はこちらからご覧ください。

          http://www.koudansha.jp/kikaku/0605/index.html

 

6月の企画展のご案内

 63日〜10日  GLASS WORKS‘06

毎年恒例のガラスのグループ展です。次回詳しくお伝えします。

                              巷談舎 山根幸子

                                                           


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